2019年11月30日 (第3296回)

英語学習と認知症対策

立命館大学言語教育情報研究科 教授 田浦 秀幸

 hideyukitaura2言語を操ることのできる人(バイリンガル)たちは、母語のみを使用している人(モノリンガル)たちよりも、認知症になる年齢が数年遅くなるとの研究報告が、海外の研究者によりなされています。日本人は少なくとも3年間は外国語としての英語教育を受けます。バイリンガルのレベルまで到達する人は少ないにしても、英語学習をすることで、認知症予防になるのでしょうか?  

 本講座では先ず、日本人中学生が英語教育を受け始めてから6年間でどのように英語力が向上し、それにつれて脳の働きがどのように変化するのかを追跡調査したケーススタディーの結果を紹介します。次に、アメリカ在住の日本人家庭に生まれ、中学卒業まで現地校に通って英語で教育を受けた後で、日本に帰国した日英バイリンガル高校生の英語力が帰国後どのように変化し、それに伴う脳の働きの変化も6年間追ったケーススタディーを紹介します。  

 この二つの研究(第二言語習得・保持研究)結果を基にして、日本人が英語学習を続けることにより認知症予防につながるのかどうかを考えてみます。