2019年12月21日 (第3299回)

「創造的復興」と2020東京オリンピック

立命館大学産業社会学部 教授 市井 吉興

 「創造的復興」と2020東京オリンピック        

 2020年7月24日にオリンピックが東京で開催されます。2013年9月7日、アルゼンチンのブエノスアイレスで開催された第125次国際オリンピック委員会総会において、東京への招致が決定してから7年もの月日が流れました。たしかに、私たちは招致決定後、「どのようにして2020東京オリンピックを迎えるのか」と侃々諤々な議論をしてきました。もちろん、そのなかには、東京、日本へのオリンピック招致、開催に反対する意見もあり、開催を目前に控えた現在でも、厳しい議論が継続しています。しかし、新国立競技場建設問題、エンブレム盗用問題、スポーツ界を震撼させた様々な不祥事、なかなか進まない震災復興は、オリンピックを東京で、そして日本で開催することに、積極的な意義や意味を見出だすことを難しくさせているように思われます。なぜ、このような状況になってしまったのでしょうか。本講座では、オリンピック招致活動を進めるなかで掲げられた「復興五輪」に示された「復興」という言葉に付与される「意味」に注目し、オリンピックと日本社会との関係について論じてみようと思います。