2020年1月11日 (第3300回)

若者と街の記憶 ー「京都ストリート文化アーカイブ」の取り組み ー

立命館大学映像学部 准教授 斎藤  進也

 若者の街としての京都は、昭和期にフォークソングやロックの文脈において独特の存在感をみせるなど、若い力の集積地であるがゆえの創造的でユニークな気風で知られてきました。立命館大学アート・リサーチセンターにおいて2018年に発足した「京都ストリート文化アーカイブの構築と発信」プロジェクトでは、そうした観点から、昭和期の京都の音楽や映画といった大衆芸術、あるいは、それらを支えたライブハウスや映画館、学生街の喫茶店など関わる資料やオーラルヒストリーの収集を開始しました。京都の若者文化は、時として全国的なインパクトを持つこともありましたが、マスメディアやエンターテインメント産業との距離が近い東京の若者文化と比べて、公の記録が少なく、当時を知る人たちの記憶も薄れつつあるのが現状です。

 同プロジェクトは、資料収集・保存を進め、そうした昭和の京都の一側面を学術的に捉えるための基盤作りを行うと同時に、文理融合の観点からアーカイブの発信に先端的な情報技術を活用することにも力を入れています。

 今回の講座では、同プロジェクトの概要を紹介しつつ、具体的な資料の提示を交え昭和期の京都の若者文化を振り返ってみたいと思います。