2022年2月19日(第3351回)

フィクションの「私」とは誰か?~小説から漫画まで~

立命館大学文学部 教授 西岡 亜紀

 フィクションの「私」=作者ではない。言い換えれば、フィクションのリアリティは、その作者の現実とは別の次元のものです。それが大前提のはずなのに、小説の内容が実話かどうかやそれを実話と捉えた場合の倫理性などが問題になることがあります。たとえば『木を植えた男』や『一杯のかけそば』のフィクション/ノンフィクション論争は有名な話です。フィクションの「私」とは誰なのか? 逆に「単なる個人の生々しいつぶやき」ではない「フィクション」の「私」は、どのように立ち上がるのか? 詩・小説・漫画・アニメーションなどを題材に、ともに考える場をつくります。  文章や音声などの表現実践に興味があるという若い人たちにも、ぜひ参加していただければと思っています。