2022年9月3日(第3365回)

ヤングケアラーをめぐる課題ー「18歳の崖」を中心に

立命館大学産業社会学部 教授 斎藤 真緒

 「ヤングケアラー」というカタカナ文字が、注目されるようになっています。最近では、「子ども家庭庁」設置に伴い、岸田首相も、「子ども家庭庁を司令塔としてヤングケアラー支援を省庁横断的に取り組む」と言明したうえで、2024年の子ども家庭庁の設置を待たずに、今年度から自治体での取り組みを強化するとしています。

 では、そもそも「ヤングケアラー」とはどういった子どもたちなのでしょうか。どんな実態があるのでしょうか。政府も全国調査に着手していますが、まだその全体像が明らかになっているわけではありません。私たちは、当事者を真ん中にすえた支援の充実のために、「子ども・若者ケアラーの声を届けようプロジェクト」を立ち上げました。18歳以降、社会の支援策が乏しくなる「18歳の崖」は、ヤングケアラーのみならず、社会的養護や経済的困窮など、他の若者の自立にも大きくたちはだかっています。子ども・若者への切れ目ない包括的支援のために必要なことは何か、地域でできることは何か、当事者の声に耳を傾けながら考えたいと思います。