2023年5月13日(第3379回)
ロシア・ウクライナ紛争下における 『戦争犯罪』と正義の在り⽅
⽴命館⼤学国際関係学部 准教授 越智 萌
ロシアによるウクライナへの侵略が継続する中、紛争下で行われたとされる「戦争犯罪」とどのように向き合うかが問題となっています。通常の犯罪と同じように、刑事捜査をし、犯人を捕らえて処罰するのか、それとも戦火の拡大を阻止するため、侵略者に屈し、責任追及をあきらめるのか。「正義vs平和」論は、紛争を終わらせることができる指導者が同時に犯罪容疑者でもある、という状況にどのように向き合えばよいのか、を論じてきました。本講義では、ロシア・ウクライナ紛争下における「戦争犯罪」の概念とそれに対処するために発展してきた国際刑事司法体制について概説した後、「正義vs平和」の二項対立論を論じた上で、過去と現在の関連事例について紹介し、現代国際秩序を支える価値バランスについて考えます。