2023年9⽉30⽇
デジタル・ヒューマニティーズとデジタル・アーカイブによる学藝の⾰新
-そのさらなる可能性を探る-
⽴命館⼤学⾐笠研究機構 招聘研究教員 ⾼野 明彦
筑波⼤学 名誉教授 杉本 重雄
ロンドン⼤学東洋アフリカ研究学院(SOAS)⼈⽂学部⻑ Graeme Earl
⽴命館⼤学アート・リサーチセンター 副センター⻑/映像学部 教授 細井 浩⼀
【司会】⽴命館⼤学アート・リサーチセンター リサーチマネージャー Travis Seifman
立命館大学アート・リサーチセンターは、2023年度に設立25周年を迎えます。設⽴以来、学術都市京都にある⽴命館⼤学の芸術・⽂化研究の拠点として、デジタル技術を活⽤した新たな研究を⽬指してきました。このようなデジタル技術を⼿法とした研究は、デジタル・ヒューマニティーズ(⼈⽂学)と呼ばれるようになり、⼈⽂学の最も先進的な研究領域となり注⽬を集めています。そのため、アート・リサーチセンターの役割は、ますます重要度を増してきており、国内のみならず、海外のデジタル・ヒューマニティーズをも牽引する存在になってきています。
また、デジタル・ヒューマニティーズの基盤となるデジタル環境は、デジタル・アーカイブによって構築されています。アート・リサーチセンターは、現在、⽂部科学省から国際共同利⽤・共同研究拠点として認定され、「⽇本⽂化デジタル・アーカイブ国際拠点」として、海外からも多くの研究プロジェクトを受け入れ、活動を強化しています。
アート・リサーチセンターにおいてこの25年間に研究蓄積されてきた日本の伝統文化を中心とするデジタル・アーカイブは、すでにオープン化されている他機関のアーカイブズとも紐付けされつつ、日本文化資源のビックデータの一角を形成しつつあります。さらに、メタバースや生成型AIの急速な浸透に見られるように、人間がデジタル空間をもう一つの活動領域として本格的に切り開いていく端緒にあたる現在、そのような文化資源のビックデータは、専門的な学術研究用のソースとしてだけではなく、より社会に開かれた活用が求められる人類共通のデジタル資源になっていくと考えられます。
デジタル・アーカイブが切り開いたデジタル・ヒューマニティーズの地平は、パブリック・ヒューマニティーズとも言うべき社会的な革新と拡張を迎えつつあります。今年度、25周年という⼀つの区切り際して、デジタル・アーカイブに関わる重要な業績を積み上げられ、アート・リサーチセンターの活動についても様々なアドバイスをいただいてきたゲストをお招きし、センターの到達点と今後の方向性を議論しつつ、さらに国内外の関連機関、研究者との連携を図るため、記念シンポジウムを開催します。