2023年10⽉7⽇(第3387回)

21世紀⽂学の〈冒険〉〜いま、表現形式に起こっていること〜

⽴命館⼤学⽂学部 教授 ⻄岡 亜紀

 近年のデジタルテクノロジーの進展のなかで、私たちの表現媒体にさまざまな変化が生じています。印刷から電子、多様なSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の出現、ChatGPTやDeeplなどの生成AIの躍進などの動きを受けて、人間が書く、ということをめぐる価値が揺れています。

 この回では、まず、21世紀の文学で表現形式に起こっていることを概観します。そのうえで、人間ではないものが開く表現の可能性と、逆に人間だからこそ生み出せることについて、具体例を示しつつ確認します。そして、21世紀文学にはどのような〈冒険〉の未来が待ち受けているのか、という問題を提起します。