2006年10月14日 (第2790回)

高齢化社会のシミュレーション分析

政策科学部教授 本田 豊

 これから日本は、本格的に高齢化社会に突入していき、高齢者の老後の生活をどのように保障していくかということが重要な政策課題となっている。他方日本経済は未曾有の財政危機にあり財政再建のために高齢者のための社会保障費を削減しようとする強い動きがある。

 本講座では、高齢者の安定した老後生活の保障と財政再建を両立するためには、どのような政策が必要かということについて、シミュレーション分析を通じて、明らかにすることを目的としている。

 具体的には、2030年までを分析対象として、まず、人口構造の変化が医療保険制度、介護保険制度、公的年金制度に与える財政的影響を解説し、公的保険制度が財政的に破綻しないためには、どの程度の社会保障費の増大が必要かを示す。そのうえで、社会保障費の増大にも関わらず財政再建を可能にする政策のあり方について、政策シミュレーションの結果を踏まえて、講師の考え方を明らかにする。