2006年10月21日 (第2791回)

21世紀の地球の資源と環境 ―数値シミュレーションによる分析

政策科学部助教授 小杉 隆信

 石油などの資源の希少性がたびたび指摘されています。また、地球規模での環境問題、すなわち地球温暖化、生物種の減少、砂漠化などが進行しつつあります。このような資源・環境問題は、向こう数年で劇的な被害をもたらすものではないでしょう。しかし、対策を行わなければ悪化の一途を辿り、取り返しのつかない被害が長期的にもたらされる恐れがあります。といって、やみくもに対策を行いすぎて経済が停滞してしまうのも考えものです。

 このような状況を避けるためには、どうすればよいのでしょうか?その答えを得るために、将来の経済活動と資源利用、地球環境の状況についてコンピュータを用いてシミュレーション(模擬計算)を行うという方法がしばしば利用されます。シミュレーションは、我々が現在までに得ている経験則などを論理的に組み合わせることで行われますから、「こっちを立てればあっちが立たず」という関係を踏まえた上でより良い解決策を探るのに便利です。

 本講座では、地球の資源と環境の現状を簡単にお示しするとともに、将来見通しについてのシミュレーションの結果を紹介します。その上で、これから取るべき対策について考察したいと思います。