2006年10月28日 (第2792回)

ゲーミング・シミュレーションと環境紛争の社会的合意

政策科学部教授 小幡 範雄

 環境にかかわる問題は人間の価値観と関係するため紛争になるケースが多い(ごみ処理場の建設問題、高速道路の建設問題、原子力発電の安全問題など)。この種の問題の解決の糸口を見出すには体験が必要となる。体験学習のひとつにゲーミング・シミュレーションがある。ゲーミング・シミュレーションとは、ゲームという能動的な参加とシミュレーションという実験的な探索を組み合わせた研究・学習支援装置である。また、ゲーミングへの参加者はこのようなコンフリクトの過程を理解することができる。

 ゲーミング・シミュレーションの目的から区分すれば、訓練ゲーム、教育ゲーム、政策ゲーム、学習ゲームの4つに類型できるが、主には政策ゲームを中心に検討していきたい。この政策ゲーミング・シミュレーションは,集団意思決定や合意形成を志向するものである。プレイヤー自身を含む対象システムの構造や振る舞いについて,プレイヤー自身,プレイヤー間の関係、システムとプレイヤーとの関係を知ることが目的で、現実の問題に対する集団意思決定や合意形成がテーマであるため、現実性への志向が強い。

 また、この講義では、これまでに開発された環境問題に関するゲーミング・シミュレーション(温暖化ゲーミング、廃棄物ゲーミング、エコ買い物ゲームなど)の特徴を紹介すると共に、社会的ジレンマの状況が交渉・コミュニケーションなどによってどのように変化するかを評価・考察して体験学習の有効さを明らかにしていきたい。