2025年6⽉28⽇(第3428回)
『グランドフォークス在留日本人記念寫眞帖』を読み解く ー日本人移民の自治活動ー
立命館大学 文学部 教授 河原典史
1941 年 12月の太平洋戦争の勃発によって、カナダ在留の日系人には太平洋沿岸から100マイル内陸部へ強制移動が実施されました。それは、労働力として青年層が対象となった道路キャンプと、家族での居住が許された抑留キャンプとに大別されます。これまでは、多くの抑留キャンプに移された日系人の苦悩が報告されてきました。それらに対し、100 マイルのわずか西側には、自活移動プロジェクトとよばれた4か所の移動地が認められました。ただし、約2.2万人の日系人のうち、およそ1,400人だけが自活移動地へ移ったにすぎません。そして、ここへの移動はバンクーバー・パウエル街の有力商人の特権であったと伝聞される程度で、その詳細については不明でした。そこで本発表では、そのプロジェクトの1つで、アメリカ合衆国との国境付近に位置するグランドフォークスについて、自主製作された『グランドフォークス在留日本人記念寫眞帖』から自活移動の実態を検討してみましょう。
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