2006年12月9日 (第2797回)

大学生が担う地域の情報発信

産業社会学部教授 坂田 謙司

 京都の特色の1つに、学生が多いということがあげられます。古からの時間の流れの中に、10代後半から20代前半までの若者達の息吹が常に含まれています。

 京都以外の地域から来る学生も数多く暮らしていますが、彼ら彼女らは4年というサイクルで常に入れ替わり、その多くが学びと生活の場としての地域と関わりを持たずに京都を去っていきます。学生側も地域の方たちも期間の短さを理由に交流がなく、そこから生まれる可能性にも目を閉じてしまっています。

 たとえ4年間という短い期間であっても、学生達が地域と積極的に関わることで地域を活性化するお手伝いができるのではないか。できるだけ継続できる方法を大学の教育の中へ組み込むことで、大学、学生、地域(地域の人々)を頂点とする循環が作れるのではないか。これが、今回お話をする「大学生が担う地域の情報発信」の核になります。

 この情報発信において学生が担うのは、情報を自ら発信することだけではなく、情報を発信したいと思っている地域の方たちのお手伝いをすることです。

 学生自らの体験と大学での学びを最大限に生かしながら、地域の方たちの情報発信を実現させることが、学生たちの新たな学びを生み出します。学生の学びを地域に還元していくことが、今後重要な課題になるのです。