好きな英語と人との出会いが、切り拓いた道~数多くの国際的な課外活動に挑戦~
幼い頃から心に抱いてきた「人と国をつなぐ架け橋になる」という夢を実現するため、さまざまな活動に邁進してきた畠麻理奈さん(国際関係学部4回生)。その内容は、環境系の国際学会や、国際的人材養成プログラム、アジアの学生が集う未来のリーダー育成プログラムなど多岐にわたるが、どれも自身の得意な英語と、出会った人のおかげで乗り越えてきたという。活動の軌跡や、分野を超えて多くの事にトライするそのパワーの源に迫った。
英語を話す自分を好きになれた
もともと引っ込み思案だったという畠さん。転機となったのは、中学1年生の時のアメリカへの旅行だった。幼少期から身につけた英語で会話がスムーズにできたことで、英語が自分の世界を広げてくれるものになったという。「英語を話せることで自信がつき、“何かにつながるかも”と予感しました。将来は英語を使うフィールドで仕事がしたいと思うようになり、両親と一緒に将来の夢を言語化したところ、『人と国をつなぐ架け橋になる』という私の人生のテーマが生まれました」と振り返る。
具体的に温めてきた夢は「国際連合などの国際機関に関わる仕事をすること」。地元に児童養護施設があったため貧困問題を意識したり、立命館守山高校時代の恩師の青年海外協力隊での経験談を聞いたりしたことで興味を持った。夢をかなえるため、積極的に課外活動に取り組んで自分を表現し始めたのは、高校2年生からだ。「ニュージーランドの短期留学での友人との出会いが、自分の人生観を変えてくれたんです。ビジョンをしっかり持ち、自立した考えの彼女に影響を受けて、私自身も自分軸で物事を考えられるようになりました。自分に自信を持ちそれを発信することで、人の目を気にしすぎる自分を成長させようと思うようになりました」。
多彩な課外活動での出会い
大学は、授業が全て英語で行われる国際関係学部グローバル・スタディーズ専攻への進学にチャレンジ。高校時代の留学後から課外活動に熱心だった畠さんは、大学入学後も精力的にさまざまな活動に挑戦する。
まず1回生で、高校の探究授業でつながりのあった一般社団法人に所属し、その団体が滋賀県からの委託で運営する「MLGs(※)グローバルミーティング」の企画と運用を行った。MLGs グローバルミーティングは、海外の参加者とZoomでつながり、英語でMLGsについてディスカッションする催しで、全3回開催された。また、第3回目は「第18回世界湖沼会議」という国際学会と合同で開かれ、畠さんは当日のモデレーター(司会)を担当しながらMLGsの取り組みを学会で発表し、海外の参加者たちと意見交換をした。続いて2回生の8月には立命館大学Challenge奨学金を利用し、ドイツ・ベルリンで行われた国際陸水学会という学会でもMLGsの取り組みを発表。地域密着型SDGsのプロジェクトであるMLGsの取り組みは世界中でも珍しく、参加者は非常に興味を示してくれたという。
また、2回生時の1年間は、国際社会で活躍する人材養成特別プログラム「オナーズ・プログラム」を受講した。ここでも、畠さんを変えてくれる大きな出会いがあった。受講生の仲間たちのことだ。「ハングリー精神が旺盛で、無理かもと思うほどの量の課題をみんなどうにかしてやってくる。私も必死についていきました。やればやるほど切磋琢磨できる環境に出会えたことで、効果的な時間の使い方が身についたし、1年間お互いを高め合いながらプログラムを乗り越えた経験は一生ものです」と、この出会いが自分を大きく成長させたと振り返る。
第18回世界湖沼会議でモデレーターを務めたことで、3回生時に「第19回世界湖沼会議」にも参加。ハンガリーで行われた湖沼会議のユースセッションのファシリテーター(進行役)として活躍した。
活動の締めくくりとなった「HYLI」
ほかにも、立命館大学大阪いばらきキャンパス(OIC)の起業にかかわるイノベーション促進・交流プログラム「OIC CONNÉCT」の学生アンバサダーとしてセッションの司会をしたり、フランスに短期留学したりと、非常に多彩な経験を積んできた畠さん。そんな彼女の活動の集大成となったのが、4回生の7月にインドネシア・バリ島で開催された「日立ヤング・リーダーズ・イニシアティブ(HYLI)」への参加だという。これは株式会社日立製作所がASEANおよび日本の次世代リーダーの育成を目的に実施している社会貢献プログラムで、アジアの8カ国から集まった学生32人が4グループに分かれ、4日間で与えられたSDGsのテーマについてディスカッションとプレゼンテーションを行うもの。「さまざまな国の違うバックグラウンドを持った学生たちの意見を結論に落とし込み、オーディエンス全員に伝わるようなプレゼンテーションをするのに苦労しました。でもそこで、これまでの3年間の活動で培った観察力やコミュニケーション能力、言語力などがとても役立ちました」と畠さんは話す。
成長することで恩返しを
多忙を極める中、このように多くの活動をこなしてきた畠さんの原動力は「今まで出会って良い影響を与えてくれた人たちに、恩返しをしたい」という気持ちにあるという。「人とのつながりを大切にしていて、自分自身の成長をこれまでに出会った人に届けたいという思いが強いです。卒業後のファーストキャリアとして選んだ場所は、さまざまな視点から世の中を俯瞰して観察・分析し、人とのつながりを重視する仕事です。『人と国をつなぐ架け橋になる』という軸と、いつか国連に関わりたいという夢は変わっていませんが、今までやってきた課外活動をもとに、自分にとって最適な場所を見つけられた気がしています」と語る。これからも多くの人と出会い、力強く成長を続ける彼女を追い続けたい。
※MLGs…マザーレイクゴールズ(Mother Lake Goals)の略。滋賀県が主体となって展開する「琵琶湖」を切り口とした2030年の持続可能社会へ向けた目標のこと。MLGsは、琵琶湖版のSDGsとして、2030年の環境と経済・社会活動をつなぐ健全な循環の構築に向け、琵琶湖を切り口として独自に13のゴールが設定されている。
PROFILE
畠麻理奈さん
大阪府出身。立命館守山高等学校卒業。書道を15年ほど続けている。
学部では矢根遥佳准教授のゼミに所属し、多国籍な仲間と国際経済学を専攻している。