オリター活動に関する確認事項

2019年1月30日

前文

オリター活動(エンターを含む)は、1960年代に学友会(自治会)が、新入生に下宿の探し方や学生生活のノウハウを教える新入生支援活動を自発的に開始したことまでさかのぼることができる。その後、基礎演習前後でのクラス活動支援への自主的な関わりを経て、大学は、学友会(自治会)の自主的な取り組みを一層支援するという観点から、1991年度全学協議会において、オリター活動を新入生支援の制度として位置づけ、支援を行うことを確認した。活動は、「生活」「学習」「自治」という3つの支援を担うものとされてきた。現在、本学学生の約1割が参加するピア・サポート活動は本学の特色ともなっており、オリター活動はその起源と言える。

昨今、社会の変化、教学の高度化(学部の新設を含む)、学生の多様化等が進む中で、オリター活動の内容は学部特性にあわせて多様な取り組みが行われている一方、大小様々な課題も生じている。このような近年の状況を受けて、改めて、初年次教育支援やオリター活動のあり方について、2018年度全学協議会において学友会と大学による協議を行うことを確認した。また、協議の中で、初年次教育は「専門教育以前に、大学教育、学生生活への円滑な移行を目的とし、学習技能、学習意欲、さらには大学生としての自覚の涵養まで含む、正課・正課外にわたる総合的教育プログラム」(初年次教育学会2018)であり、大学は、「学生生活への適応」を含めて、初年次学生に正課・課外にわたって様々な学びや経験を提供することが求められていることを確認した。

この協議を受けて、学友会と大学は、初年次教育支援およびオリター活動を行う前提として、以下の点を原則として確認する。

オリター活動に関する原則的確認

(1)オリター活動は、本学における初年次教育支援の一翼を担い、初年次学生の「学生生活への適応」および「自治活動」の支援、ならびに学部の状況に応じて「大学での学習への適応」の支援を行うことを目的としたピア・サポート活動である。

(2)オリター活動は、学部自治会の下に置かれた団体による自治活動であるが、初年次学生の学びと成長に関わり、学部から時間や場の提供等の便宜を受けることから、オリター活動の目的・内容等について、定期的に大学・学部と学友会・オリター団とが五者懇談会等で協議・確認を行う必要がある。また、この協議の中で、正課教育への関与の有無を含むオリター活動の活動範囲を確認し、この確認に基づき活動を行う。

(3)各学部オリター団は、自治活動団体として自ら規約を定めるとともに、毎年度活動方針や活動計画を策定し、目的に応じた適正な活動を行えるように運営を行うことが求められる。また、参加学生は、ピア・サポーター(支援者)としての知識や態度を身に付けることが求められる。

(4)大学は、初年次学生の学びと成長のみならず、当該学部の在学生であるオリター学生が、活動を通じて学び成長する視点も重視し、その主体的学びと成長を支援することが求められる。このため、大学はオリターに対して研修や支援を行う。

(5)各学部オリター団は、初年次学生の支援という目的を達成するためおよび活動を適正に行うため、別添のフレームワークに依拠し、自らの活動を自律的かつ主体的に行う。フレームワークは、オリター活動を一元化するマニュアルではなく、オリター団が自律的に活動の質を高めるための土台であるとともに、大学・学部による支援と評価・検証の基本枠組みとして位置づけられるべきものである。

以 上

【別添】オリター活動・支援のフレームワーク

2019年1月30日

(1)規約の策定と見直し

  • 各学部オリター団は、自治活動団体として、自ら規約の策定または見直しを必要に応じて行う。
  • 規約には、概ね①名称、②目的、③組織、④入・休・退団、⑤役員、⑥機関(会議)、⑦運営(活動方針・活動計画)等を記載する。

(2)活動方針・活動計画の作成

  • 各学部オリター団は、自らの活動の目的・目標等を定め、団員および学部との共有を図るため、毎年度、活動方針・活動計画を作成する。
  • 活動方針・活動計画には、「オリター活動に関する確認事項」、「規約」に留意しながら、以下の内容を盛り込む。

①活動の目的

  • 目的
  • 初年次学生の課題(学生実態)

②活動内容と活動内容毎の目標

  • 活動内容、活動内容毎の目標
  • オリター自身の目標

③活動計画

  • 募集計画
  • 研修計画
  • 初年次学生支援計画

④活動ルール

⑤振り返りと自己評価

(3)学部とオリター団との協議

  • 学部とオリター団(団長、その他執行部)は、定期的にミーティングを行い、活動方針・活動計画の協議・確認、活動の進捗や課題、振り返りと自己評価等を共有し、活動の改善・高度化を図る。

(4)学生部とオリター団との協議

  • 学生部とオリター団(団長、その他執行部)は、キャンパス単位で月1回程度の頻度でミーティングを行い、活動方針・活動計画の検討経過、活動の進捗や課題を共有するとともに、振り返りと自己評価等の機会を提供し、オリター団相互の活動の改善・高度化を図る。

(5)学生部・教学部による情報提供

  • 学生部・教学部は、各学部および各学部オリター団に対して、初年次教育支援やオリター活動の状況、オリターや初年次学生を対象としたアンケート結果を参考資料として毎年度提供する。
  • また、良好な活動ができている事例をグッド・プラクティスとして共有する。

(6)オリター活動への学友会全学自治会からの支援

  • 学友会全学自治会は、(1)、(2)および(9)をはじめとするオリター活動を支援するとともに、(4)のミーティングに参加する。

(7)オリター活動への大学・学部からの支援

  • 大学・学部は、学部個別の状況に応じて、時間(クラス懇談会、サブゼミ等)や場所(教室、セミナーハウス等)の提供、活動助成金(学びのコミュニティ初年次教育活動助成金)による活動支援の実施有無を判断する。
  • 学生部・教学部は、ピア・サポーターとして求められる知識・能力・態度を修得する研修プログラムを提供するとともに、各学部オリター団からの要請に基づき、適切な時期に学生生活支援等の課題や団運営の課題に関する研修を提供する。
  • 学部は、オリターの活動計画・活用内容を踏まえ、オリター団からの要請に基づき、学部が支援をする活動の範囲に応じて履修方法等の学習面に関わる研修・指導を行う。

(8)活動サイクル

  • 十分な準備・研修期間を確保することを目的として、以下の活動サイクルを標準とする。秋入学者に対するオリター活動については、個別に調整する。
  • ~10月:オリター(執行部)組織
  • 10月~:オリター(団員)募集
  • 02月~:初年次学生支援準備
  • 04月~:初年次学生支援
  • 07月~:活動の振り返りと自己評価(学部によっては秋学期の活動もあり得る)

(9)振り返りと自己評価

  • 自律的かつ主体的に活動の振り返りを行うことが、組織的にも個人的にも学びと成長に資する観点から、各学部オリター団は、活動の終了にあたって活動を振り返りと自己評価を行い、報告書をまとめる。

(10)情報の共有

  • 各学部オリター団および学部・学生部は、相互にオリター活動に関わる事項の報告・連絡・相談を綿密に行う。特に、トラブル等発生した場合には、速やかに情報を報告・共有し、解決に向けた方策を協議する。

(11)改定

  • 本フレームワークの改定は、学生生活会議の議を経て、大学と学友会の合意に基づいて行う。

以 上