栗原 由紀子 先生(経済学部)
2022.05.01
『異端の統計学ベイズ』
シャロン・バーチュ・マグレイン著 ; 冨永星訳(草思社、2013年)
今日,インターネットの検索機能を始めとして,私たちの身近なところで「ベイズ統計」が応用されている。しかしベイズ統計は,その歴史の大半においては,「統計学」の主流を築き上げてきた多くの一流の研究者たちによって異端扱いされてきた。本書は,大戦中の暗号解析や沈没船の海洋上の位置特定など,ベイズ統計でなければ解決できなかった歴史的事例を取り上げつつ,それらに関わった人々の苦労と成功が,統計に不案内な読者にもテンポのよい小説のように描かれている。
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『不平等について:経済学と統計が語る26の話』
ブランコ・ミラノヴィッチ著; 村上彩訳(みすず書房、2012年)
グローバル化の時代が熟し,疫病や戦争など,これまで想定されなかった事態がボリュームをもって継起している。不遇ともいえる時代に生きる私たちは,過去と比べて「不平等」な状況にあると思えるかもしれない。時代や国を超えて,感情ではなく科学的に「不平等」や「平等」を議論するにはどのような観点で論じていけばよいのだろうか。そのような問題意識をもった時こそ,本書をお薦めしたい。
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『データ視覚化の人類史 : グラフの発明から時間と空間の可視化まで』
マイケル・フレンドリー, ハワード・ウェイナー著 ; 飯嶋貴子訳(青土社、2021年)
「世界初の円グラフ」と聞いて,どのような円グラフをイメージするだろうか。私たちにとっては小学生くらいの頃から馴染みのある統計グラフは,その開発や歴史的経緯をみると,その時代,その地域にとって,極めて重要な役割を果たしていた。難しいことはさておいても,本書が取り上げる数百年前に描かれた各種グラフは,精巧でありまた絵画のように美しい。ぜひ一度,眺めてみてほしい。
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