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関 麻衣 先生(経済学部)

2022.05.01


『「原因と結果」の経済学 : データから真実を見抜く思考法』
中室牧子, 津川友介著(ダイヤモンド社、2017年)

5年後の現在、日本ではエビデンスに基づいた政策立案(EBPM)を推進する方針や取り組みが中央政府のみならず自治体レベルでも浸透し始めている。その端緒になったといっても過言ではないのが本書。因果と相関の違いや、ランダム化比較試験などの因果推論を用いた統計分析を、分かりやすい例を用いて一般向けに紹介している。学生生活に関連する実例として「勉強ができる友人と付き合うと学力は上がるのか」が特におすすめ。
(追加情報)EBPM自体に興味を持った方は、経産省の研究所(RIETI:https://www.rieti.go.jp/jp/events/17121901/summary.html)や各種官庁に「キーワード:官庁名 EBPM」と検索をかけることをお勧めする。

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『子育て支援の経済学』
山口慎太郎著(日本評論社、2021年)

少子化問題が深刻な日本において重要な子育て支援にまつわるエビデンスをまとめた一般書。日経・経済図書文化賞受賞。引用されている参考文献は著名な海外論文も多いため、家族の経済学や労働経済学の入門書としても機能する。おすすめは、世間一般で広まっている言説に本当に根拠はあるのか、と各章のテーマを自分なりにクリティカルシンキングをフル稼働させながら読むこと。ついでに卒論のアイデアもみつかるかも。   
(追加情報)学術論文は図書館の「まとめて検索」とGoogle Scholarで検索。著名な研究者の論文の参考文献リストからさらに検索。著名な論文を引用している新しい論文も逆検索。論文の内容はエクセルに整理すると論文執筆時に役立つのでお勧め。

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『The Voltage Effect: how to make good ideas great and great ideas scale』
John A. List(Currency、2022年)

シカゴ大学のジョン・リスト教授が、ランダム化比較試験で上手くいったビジネスや政策アイデア”good ideas”をスケールアップするために何が必要か解説した本。ビジネス、経済学、人間心理を組み合わせて、これまでの膨大な研究に基づく実践知をビジネスパーソンや行政官向けに紹介している最新書だ。英語にひるまず流し読みしてみよう。リアルタイムで世界の先端知に触れる習慣は今後の人生を劇的に変えるから。
(追加情報)ハーバード大とMITの教授らを中心に運営されているJ-PAL(https://www.povertyactionlab.org/)がランダム化比較試験に基づくEBPM分野では“老舗”であるが、イェール大学のY-Rise(https://yrise.yale.edu/)などが特にスケールアップ問題に取り組んでいる。

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