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志村 真弓 先生(グローバル教養学部)
2025.05.1
国際関係を学際的に考える
『平和学事典』
日本平和学会編 (丸善出版、2023年)
日本平和学会の創立50周年を記念して刊行された「読む事典」です。軍事研究ならぬ平和研究の現在を理解するうえで欠かせない約300の項目が厳選されており、総勢224名の執筆者が専門的に解説しています。戦争からマイクロアグレッションの問題まで、あらゆる暴力と平和の問題を考える最初の一歩に最適です。目次を眺めるだけでも視野が広がるような、興味深く核心的な項目が並んでいます。
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『国際政治学』
中西寛、石田淳、田所昌幸著(有斐閣、2013年)
政治学の視点から国際関係をとらえると何が見えてくるのか。本書は、流し読みをするよりも、ノートをとりながら腰を据えてじっくりと読むのに向いています。巻末の事項索引に「逆説」や「ディレンマ」が置かれているのですが、これは類書にはない本書ならではの特徴です。国際関係にいかなる逆説やディレンマが存在するのか、なぜそれらは容易に解決されないのか。本書の解説を通じて、一筋縄ではいかない国際政治の姿に触れてください。
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『国際法で世界がわかる:ニュースを読み解く32講』
森川幸一、森肇志、岩月直樹、藤澤巌、北村朋史編(岩波書店、2016年)
今日の私たちの生活は、国際法のあり方から常に大きな影響を受けています。それにもかかわらず、国際法とはそもそもどこで、どのように形成されて、何をどう定めているのか、ただちに説明できる人は限られているのではないでしょうか。本書は、日本にとって身近な例を取り上げながら、国際法のものの見方や考え方をわかりやすく提供してくれています。本書を読んで、国際関係における国際法の重要性を実感してください。
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『国際政治:権力と平和』(岩波文庫)上・中・下
モーゲンソー著、原彬久監訳(岩波書店、2013年)
本書は、国際政治学を学問分野として確立させた原点であり、国際政治学における政治的リアリズムを代表する古典的名著でもあります。著者はナチス・ドイツを逃れ、亡命先のアメリカで1948年に原著の初版を世に問いました。アメリカで彼はなぜ「リアリズム」を説いたのか。冷笑主義や現状の追認主義を意味するのではない「リアリズム」について学ぶことのできる、最適にして最良の一冊です。
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『核対決と軍縮』(坂本義和集5)
坂本義和著(岩波書店、2004年)
坂本義和(さかもと よしかず、1927‐2014年)は、戦後日本を代表する国際政治学・平和研究者です。アメリカでハンス・モーゲンソーに師事し、生涯にわたる交流があったことでも知られています。モーゲンソーの「リアリズム」を独自に発展させた坂本は、国家が相互の不信から軍拡競争に陥るという負のスパイラルを抜け出すには何が必要かについて、理論的な基礎を築き、わたしたちにそれを残してくれました。核抑止や核廃絶の問題に関心がある人、2024年にノーベル平和賞が日本原水爆被害者団体協議会に与えられた背景や意義を考えてみたい人にとって、大変刺激的な必読の書です。
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『地球的問題の政治学』
中村研一著(岩波書店、2010年)
地球的問題(global issues)とは、コロナ禍のような感染症の世界的流行、エネルギー資源の枯渇、森林消失やオゾン層破壊といった地球環境破壊など、その原因も破局的影響も国境を越えて広がる問題を指します。こうした問題を解決するには、国家間の協力が不可欠ですが、自国の国益最大化を目指す国家の論理だけでは「協力」の実現には限界があります。そこで本書第Ⅱ部では、国家権力とは異なる政治主体、すなわち「地球市民社会」や地域統合組織をも含んだ「地球政治」の実態と可能性が検討されます。序章のタイトルが「平和は可能か」と問うているように、本書は国際政治学と平和学をかけあわせた学際的な教科書といえます。
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『戦後責任:アジアのまなざしに応えて』
内海愛子、大沼保昭、田中宏、加藤陽子著(岩波書店、2014年)
「戦後責任」とは何でしょうか。副題が示すように、本書が直接論じるのは、日本が中国や韓国をはじめアジアの人々に対して甚大かつ凄惨な犠牲を強いた1931年から1945年にいたる戦争の「加害者責任」の問題です。では、当時を生きていない私たちにとって、これは上の世代の人々の問題に過ぎないのでしょうか。そうではありません。本書は、日本の戦後責任の問題に研究と運動の両面から長く深くかかわってきた内海・大沼・田中の鼎談を、歴史学者の加藤が司会進行しながらまとめた一冊になります。論文集とは異なる形式でまとめられており、この問題になじみのない読者でも鼎談の臨場感に引き込まれ、この問題を考え始めるきっかけを与えてくれるはずです。そして、知り学ぶごとに、「戦後責任」の問題が浮き彫りにするのは、日本社会の「現在」の姿であることが理解できるでしょう。
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『「法」と「法外なもの」:ベンヤミン、アーレント、デリダをつなぐポスト・モダンの正義論へ』
仲正昌樹著(御茶の水書房、2001年)
国内において、見た目には同じ「実力行使」が、〈法〉の定めるところにより「不当な暴力」にもなれば「正当な権力行使」(「法」規範の強制執行)にもなるように、国家間において生じる、見た目には同じ「武力行使」も、国際〈法〉のありようによって「不当な侵略戦争」にもなれば「正当な防衛戦争・制裁措置」にもなります。では、その〈法〉の〈正義〉はどこに由来するのか。国際法の平和的変更が求められる今日、本書を読み、〈暴力〉と〈権力〉、〈法〉と〈正義〉の関係について考えを深める必要があります。
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