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麓 仁美 先生(食マネジメント学部)

2026.9.2


『何者』
朝井リョウ著(新潮社、2015年)

「何者かになりたい」。そう願うほど,「自分はまだ何者にもなれていない」という不安も大きくなっていく。本書は,そんなジレンマを抱えた若者たちを描いた物語です。

SNSでは意識高い発言をしながら,本当は不安で,他者と比べてしまう。読んでいると,少し居心地の悪さを感じるかもしれません。それはきっと,そこに描かれている感情が,「自分には関係のない誰かのもの」とは思えないからだと思います。

本来はとても私的なはずの「生き方」や「自分らしさ」が,就職活動やSNSを通じて,他者から評価される公共的なものになっている時代だからこそ,少し立ち止まって読んでほしい一冊です。

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『組織行動の考え方: 個人と組織と社会に元気を届ける実践知 = Perspectives on organizational behavior』
金井壽宏, 髙橋潔, 服部泰宏著(東洋経済新報社、2025年)

「働く」ということは,単にお金を稼ぐということではなく,誰かと関わり,協力しながら何かを成し遂げていくことでもあります。そうした経験は,アルバイトや部活,サークル,ゼミなど,私たちの日常の中にもすでにあります。

本書は,そうした,人と一緒に働き,関わり合う中で生まれる行動や心理を,「組織の中の人」という視点から考えるための本です。「なぜやる気が出るのか」「良いリーダーとは何か」「働く中で,人はどうすれば幸せでいられるのか」。読んでいると,自分自身の経験を思い出し,人と一緒に何かをすることの面白さと難しさを改めて考えたくなる一冊です。

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『ブルシット・ジョブ: クソどうでもいい仕事の理論』
デヴィッド・グレーバー [著] ; 酒井隆史, 芳賀達彦, 森田和樹訳(岩波書店、2020年)

「これ,やる意味あるのかな・・・。」

アルバイト中の単純作業や就職活動の中で,そんな虚しさを感じたことはありませんか。たとえば,お客さんが一人もいない店内で,「働いているフリ」をするために棚を拭き続ける時間。あるいは,企業のマイページごとに,全く同じ学歴や自己PRを何度も打ち込み直すだけの作業。何かをしているはずなのに,自分が誰かの役に立っている実感や,何かを生み出しているという手触り感が,どこかに置き去りにされているような感覚です。

「働く」とはどういうことなのか。仕事は本来,何のためにあるのか。そんな問いを改めて考えさせてくれる一冊です。

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