和田 有史 先生(食マネジメント学部)
2022.01.01
『謎解きアヴェロンの野生児』
鈴木光太郎著(新曜社、2019年)
「野生の少年」という古いフランス映画があります。フランスの山奥で暮らしていたと思しき少年ヴィクトールが保護され、パリに移送、人間らしく生きるための訓練を受けるものです。史実にかなり忠実に描写された映画でしたがヴィクトールがどうなったのか、その結末は映画では描かれませんでした。本書では、政治・教育などの時代背景、あるいは思惑を踏まえながら、ヴィクトールの発見から最期までが描かれています。人間の発達のメカニズムも含めて記述されており、ドキュメンタリー番組のように心に迫ってきます。
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『食行動の科学: 「食べる」を読み解く』
今田純雄, 和田有史編(朝倉書店、2017年)
手前味噌で恐縮ですが食行動の科学について、わが国の中心的な研究者たちが執筆した一冊です。文系の読者も理解しやすい内容としたつもりです。食、といってもこんなに人間の営みに関わるのか、ということを知ってもらいたいです。本編は教科書的な内容ですが、この本の最大の魅力は著者たちに肩の力を抜いて書いてもらった珠玉のコラムだと思います。本音を吐露してもらえたところもあるし、著者の1人の母校近くの有名ラーメン店とダイエットコントロールについて綴ったエッセイもくすりと笑えます。
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『フードテック革命 : 世界700兆円の新産業「食」の進化と再定義』
田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀著(日経BP、2020年)
シリコンバレーのIT技術者たちが引き起こした世界的なムーブメントであるフードテック革命。日本も遅ればせながら、昨年くらいに本格的にその渦中に入りました。その立役者の一人である外村氏が監修した本書はフードテック革命の成り立ちやこれまで、さらに推進してきたプレーヤーについて紹介されています。さらにコロナ禍において出版されたので、これがフードテックに与える影響についても触れられています。著者のみなさんのパワーに脱帽です。この本で技術やビジネスがいかに身近な世の中を変えていくか、ということの目撃者となることができます。
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