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布山 美慕 先生(文学部)

2024.05.1


RARAフェロー/アソシエイトフェローお薦め本


『迷うことについて』
レベッカ ソルニット 、東辻賢治郎訳(左右社、2019)

哲学者のメノンの「それがどんなものであるかまったく知らないものを、どうやって探求しようというのでしょうか」という問いに対して、迷うことや不確定性にとどまることを提示しオムニバス形式で進む本書。私の研究テーマの一つである不確定性を積極的に捉えるとても美しい本です(表紙も中表紙もとても綺麗なのでぜひ開いてください)。
本書はいわゆる認知科学や数学分野の本ではありませんが、認知のゆらぎの価値やメアリン・ウルフ(2020)のゆっくり読むことの価値に通じる本だと感じています。

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『デジタルで読む脳×紙の本で読む脳』
メアリアン・ウルフ著、大田直子訳(インターシフト、2020)

私は文章理解を一つの研究テーマの軸にしています。近年SNSの発達で短い文章を素早くやりとりする機会が多くなったように思います。ではそういった素早い文章の理解とゆっくり紙の本で小説を読むのにはどういった違いがあるのでしょうか。
現代社会においては早く理解することばかりが重要視されますが、本書では、実は集中して「ゆっくり」読むからこそできる理解もあるとされます。一方で、電子ならではの長所も併論されています。著者は認知神経科学・発達心理学の研究者で、多くの研究知見も盛り込まれていますが、とても読みやすい、親しみやすい一冊です。

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