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常世田 良 先生 (元文学部)

2022.04.01

常世田 良 先生

常世田先生から新入生と2回生の皆さんにぜひ読んで欲しいお薦め図書の紹介です。

【常世田良先生 経歴】
2012年より立命館大学文学部で教鞭をとられ、2022年3月退官。
元浦安市立図書館長。日本図書館協会理事。長年、公共図書館運営に携わられる。


新入生の諸君へ

入学おめでとう!!
「脳は、筋肉である」という言葉があります。
筋肉と同様、鍛錬しないと衰退してしまう、ということです。
「脳の鍛錬」には論理的な長文を読むことが一番効果がありますが、そのためには一定のスキルと慣れが必要です。
まさにスポーツの練習と同様なのです。
3回生になると専門の研究や就活の準備などで忙しくなります。
「脳の鍛錬」には1、2回生の2年間しかないのです。
1、2回生のうちに専門書を一冊でも多く読んで、「スキル」と「慣れ」を身に付けましょう!!
名著を一冊読むことも大切だが、同一分野の主要な著書をまとめて読むことを強く勧めます。
そのことにより「知」の山脈を縦走するような深い理解と超絶的な知の喜びを得られます。
「進化論」を例に推薦図書を挙げます。
「読む順番」の順に読みすすんでください。


お薦め読む順番1

『進化とはなんだろうか(岩波ジュニア新書323)』
長谷川眞理子著(岩波書店、2007年)

現一般人が信じている「進化」は大間違い!!!
「進化論」は近年、学問の一分野から人間に関する全ての分野の基礎となるべきものと見なされるようになった。進化論をもとに再構築されたものに「進化(社会)生物学」「進化心理学」「行動経済学」などがある。

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お薦め読む順番1か2

『利己的な遺伝子』40周年記念版
リチャード・ドーキンス箸;日高敏隆訳(紀伊國屋書店、2018年)

映誰でも知っている世紀の名著。1、2回生の夏休みに挑戦しよう!!
「生物は遺伝子の乗り物(ヴィークル)に過ぎない」という衝撃的な内容で一般社会に対してもパラダイム転換を迫った。グールドとの論争は単に進化論に留まらず科学の本質的課題を明らかにした。

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お薦め読む順番2か1

『ワンダフル・ライフ:バージェス頁岩と生物進化の物語 (ハヤカワ文庫NF236)』
スティーヴン・ジェイ・グール著;渡辺政隆訳(早川書房、2010年)

ドーキンスのライバル。進化の偶然性多様性を重視。以下はドイツ留学中の卒業生の読後感想「生命の歴史は絶滅の連続、失敗して当たり前という考え方は、自分の生き方に対する肯定感、挑戦への意欲を与えてくれました。」

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お薦め読む順番4

『理不尽な進化:遺伝子と運のあいだ 増補新版(ちくま文庫よ31-1 )』
吉川浩満著(筑摩書房、2021年)

科学の解説書は、門外漢の「本当に知りたいこと」には応えられないことが少なくない。 しかしこの本は、「進化論」の本質と既成の科学に与えた衝撃をとても丁寧に明らかにしてくれる。全ての分野にこのような本があれば、と思わせる。

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お薦め読む順番5

『進化論の何が問題か:ドーキンスとグールドの論争』
垂水雄二著(八坂書房、2012年)

ドーキンスとグールドの論争に焦点を当てて、異なった立場による議論が進化論を機械的決定論に堕することなく発展させた経緯を描いている。一般的に犬猿の仲といわれた二人が実は・・という感動的な結末を是非読んでほしい!!

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お薦め読む順番6

『心の仕組み 上・下 (ちくま学芸文庫ヒ15-1)(ちくま学芸文庫ヒ15-2)』
スティーブン・ピンカー著;椋田直子訳(筑摩書房、2013年)

長い間心理学は、人間の意識そのものはブラックボックスとして扱ってきた。しかし近年大脳生理学、脳神経学等の知見と進化論の成果を援用した「進化心理学」が人間学全体へ影響を与えつつある。読んだ後、日常の風景が異なって見える本。

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お薦め読む順番7

『ファスト&スロー: あなたの意思はどのように決まるか? 上・下』
ダニエル・カーネマン箸;村井章子訳(早川書房、2012年)

心理学者でありながら、進化心理学を経済学へ応用してノーベル経済学賞を受賞した著者による人間の行動特性を分かりやすく解説したもの。進化論がいかに広範囲に応用されているかが分かる。

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