粟谷 佳司 先生(産業社会学部)
『限界芸術論』
鶴見俊輔著 (勁草書房、1967年)
芸術を純粋芸術、大衆芸術、限界芸術と分類し、日常生活の身振りやらくがきなどの人々の普段の行いが限界芸術であるとして、たとえば大衆芸術とされる流行歌においても限界芸術の要素が入り込んでいると論じる。本書は現在でも大衆文化を考えるときのヒントがある。出版社によって収録論文が違うので「流行歌の歴史」が収録されている勁草書房版がおすすめ。
*版・出版社が異なる資料も所蔵しています。
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『マス・イメ-ジ論』
吉本隆明著 (福武書店、1984年)
カルチャーとサブカルチャーの領域をクロスさせながら、「現在」という作者を「マス・イメージ」として追求した論集。糸井重里や黒柳徹子らの作品と大江健三郎らの文学を同じ水準で批評しているところは当時新鮮だった。
*版・出版社が異なる資料も所蔵しています。
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『ポピュラー音楽の研究』
三井徹編訳 (音楽之友社、1990年)
Popular Music誌から、初期の重要な論文を翻訳したもの。カルチュラル・スタディーズとポピュラー音楽研究、音楽史におけるポピュラー音楽、MTVなどのテーマを扱っている。学生時代にこの本を読んで、ポピュラー音楽を学問として研究出来ることを知った。
本学では所蔵していません。
『日本・現代・美術』
椹木野衣著 (新潮社、1998年)
本書において、椹木は日本の現代美術の空間を「閉じられた円環」と定義しながら分析する。そこでは、「日本」という空間がジャンルの機能しない渾然一体となった「悪い場所」として認識され、ハイレッドセンターのような「反芸術」や村上隆らの活動が取り上げられている。グローバルな環境において日本の文化を考える上でも示唆的である。
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『サウンドの力 : 若者・余暇・ロックの政治学』
サイモン・フリス著 ; 細川周平, 竹田賢一訳 (晶文社、1991年)
ポピュラー音楽研究を代表するサイモン・フリスによる英米のロック・ミュージックの社会学研究。ロックのルーツや、あるいはロック音楽の生産と消費というテーマから、音楽産業、若者、余暇、セクシュアリティなどについて論じている。
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『日常的実践のポイエティーク』
ミシェル・ド・セルトー著 ; 山田登世子訳 (国文社、1987年)
本書でセルトーは、自らの研究を「使用者(ユーザー)」による「ひとつの「文化」を構成しているさまざまな 操作の組み合わせ を明るみにだすこと」であると述べている。そして日常的な生活の行為実践において、ある「操作」を行う存在として「ユーザー」が捉えられる。「ユーザー」の能動性についてヒントを得られる著書。
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『アドルノ音楽・メディア論集』
Th.W.アドルノ著 ; 渡辺裕編 ; 村田公一, 舩木篤也, 吉田寛訳 (平凡社、2002年)
本書には、アメリカのジャズを論じた「ポピュラー音楽について」が収録されている。アドルノはこの論文において、ポピュラー音楽を「規格化」や「グラマー(魅力)」といったキーワードで捉えていて、現在のポピュラー音楽の構造を考える上でも示唆的である。
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『メディア論 : 人間の拡張の諸相』
マーシャル・マクルーハン [著] ; 栗原裕, 河本仲聖訳 (みすず書房、1987年)
本書において、マクルーハンは「メディアはメッセージである」という自らのメディア論を語っている。ここで語られていることは、メディア技術の発展による人間の感覚の変容についてである。本書は、現在でもメディア、コミュニケーション研究者にもさまざまな形で言及され、引用されている。
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『長い革命』
レイモンド・ウィリアムズ[著] ; 若松繁信[ほか]訳 (ミネルヴァ書房 、1983年)
本書でウィリアムズは、文学や芸術などがコミュニティという空間において私たちの日常生活のコミュニケーションから捉えられる、とする「生活の仕方全体」という考え方を提示している。この本に限らずウィリアムズの著作は文化を考える上で示唆的である。
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『現代社会の神話 : 1957』(ロラン・バルト著作集 / ロラン・バルト [著] ; 3)
ロラン・バルト [著] ; 下澤和義訳 (みすず書房、2005年)
バルトは、現代社会を記号論的な分析により読解した。本書の「今日における神話」において、バルトは『パリ・マッチ』誌の表紙となった三色旗に敬礼する若い兵士の分析を行っている。ここから、フランスの帝国性を読み取る手法は鮮やか。
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