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花﨑 育代 先生(文学部)

 


『戦後史の空間 ; 左翼がサヨクになるとき』
磯田光一著 (小沢書店 、1991年 他)

戦後文学を、中村光夫の「占領下の文学」といった価値判断以前の問題として、今日では当たり前になっているGHQ占領下での文学として捉えていこうとしたものとしてはやい時期のもの。時代の中に文学をおいていますが、文学はきちんと論じています。磯田の考察は三島由紀夫や永井荷風に関する論考も優れており、その全体像をみわたせる著作集が出版社の事情で中絶してしまったのは残念。どこかで刊行してほしいものです。

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『徴兵制と近代日本 : 1868-1945』
加藤陽子著(吉川弘文館 、1996年)

ある研究分野において、他の専門領域を参照する場合、そのなかで、なにを基軸のものとして援用するか、はきわめて難しいといえます。文学研究においてもしかり。本書は「各時期の徴兵令を読みこむ、という最も基本的な作業」(「まえがき」)からはじめており、近代日本文学を読むのに有益な情報を提供してくれています。

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『俘虜記』
大岡昇平著(新潮文庫、1993年 他)

小説とはなにか、文学とはなにか、そして生きることとは――。舞台は1945年のフィリピンの戦場―俘虜収容所ですが、この本が読者に問いかけるものは、それだけでも大きな戦争の問題にとどまりません。そして、この作品との出会いが私の文学研究の出発点でした。

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『文学入門』
桑原武夫著(岩波新書、1963年)

文学とはなにか、ということでいえば、あまりに古典的ではありますが、やはりこの一書でしょう。「インタレスト」をキーワードに展開する本書、今日からみればいろいろ異論もあり得ましょうが、文学に真正面から真摯に向き合う姿勢は学ぶべきものです。

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『トリスタン・イズー物語』
ベディエ編(岩波文庫、1985年 他)

トリスタンとイズーの物語はさまざまに伝えられていますが、よくまとめられており、かつ今日の日本で入手しやすいものを選びました。ワグナーの歌劇やジャン・コクトー脚本の映画『悲恋』鑑賞の折にはもちろんのこと、恋愛小説の祖としてもぜひ読んでおきたい作品です。

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『宮廷風恋愛について : ヨーロッパ中世の恋愛指南書』
アンドレーアース・カペルラーヌス著(南雲堂 、1993年)

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『宮廷風恋愛の技術』
アンドレアス・カペルラヌス著(法政大学出版局 、1990年)

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12世紀から13世紀、フランスで貴婦人が主導権を握る宮廷風文化の時代すなわち、トリスタンの物語が口誦詩から物語にまとめられていった時期の恋愛を当時の宮廷付礼拝堂司祭が語ります。「恋の戒律」全31条は、スタンダールが著名な『恋愛論』で賛意を込めて全文引用しています。


『愛について : エロスとアガペ』
ドニ・ド・ルージュモン著(岩波書店、1959年)

「第五の書」に恋愛と戦争の表現上の相似―照応についての言及があり、なおかつ第一次大戦以後の総力戦以後はこの照応が失われたことをも特筆しており、ことばによる芸術としての文学を考えるうえで重要な書物と言えます。

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『定本言語にとって美とはなにか』
吉本隆明著(角川文庫、2001年 他)

言語にとっての美である文学について、ことばの発生から説き起こし、果敢にもことばのつらなり―作品からだけで文学史を試みようとした評論。試みは大事なところでやはり作品外事象を導入せざるを得なくなるのですが、先学に学びながらも自力で文学を考え一定の成果を上げている点で、重要な論考といえます。

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『夜と霧』新版
ヴィクトール・E・フランクル著(みすず書房、2002年 他)

入手しやすい1977年新版に基づいた池田香代子訳を掲げています。1947年版に基づいた霜山徳爾訳があります。 心理学者の強制収容所体験記録。読んでほしい。

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『紙の中の戦争』
開高健著(文藝春秋、1972年 他)

作家の手になる戦争文学論。桜井忠温『肉弾』、芥川龍之介『将軍』から大岡昇平、梅崎春生、J・ハーシーまで。今日入手しやすい同時代ライブラリー版もあります。

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『敗北を抱きしめて : 第二次大戦後の日本人』
ジョン・ダワー 著( 岩波書店、2004年)

副題にあるように敗戦後GHQ占領下の日本人を詳細に考察したもの。そこからは、日米双方おのおのが、それぞれの思惑をこめて戦争―後を、双方を、<抱きしめ>たすがたがうかびあがってきます。

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『死者の書・身毒丸』
折口信夫著(中公文庫 、1999年 他)

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『死者の書・口ぶえ』
折口信夫作 (岩波文庫 、2010年)

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近代の小説とはどのようなものかということを考えさせる作品。オープニングはきわめて印象的。折口の作品は、三島由紀夫や大岡昇平など戦後作家にも大いに愛読され参照され受容されたという点でも注目すべきものです。


『僕の昭和史』
安岡章太郎著( 講談社、1984-1988年)

安岡は、戦後文学の中のいわゆる<第三の新人>のひとり、「サーカスの馬」など国語教科書で出会った人もいると思います。物事にちょっと距離をおきながら、ユーモラスに、しかし粘り強く記す自伝的同時代史です。

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『三好行雄著作集』
三好行雄著(筑摩書房、1993年)

今日に至る日本文学研究における読みの問題を提起した忘れるべきでない書『作品論の試み』や、<いささか気取りすぎたサブタイトル>『明治のエートス』をもつ漱石?外論などを含む近代文学研究者の著述。今読むとこれも<気取り>だったのかなあと思いつつも、私がやはり強い示唆を受けたのは「『金閣寺』再説」でした。

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『前田愛著作集』
前田愛著( 筑摩書房、1989-1990年)

近代文学研究に新しい方法を導入して鮮やかな論を展開した近代文学研究者。読者論、都市論、と後続の研究者の眼を見張らせましたが、なかでも樋口一葉「たけくらべ」に関する論考は、作中のことばと都市の問題とが有機的に連関したすぐれた好論です。

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『日本近代文学の起源 : 原本』
柄谷行人著(講談社文芸文庫 、2009年 他)

スーザン・ソンタグを援用した「病という意味」など、さまざまな知見をとりこみつつ行った日本近代文学批評。

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『姦通の文学 : 契約と違犯 ルソー・ゲーテ・フロベール』
トニー・タナー著 (朝日出版社、1986年)

いわゆる純愛とともに姦通が恋愛小説の王道であることは疑う余地のないところでしょう。原著刊行が1979年、ポスト構造主義を参照しての歴史的著述であることを超えて、参看すべき書物。

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『1940年体制 : さらば戦時経済』
野口悠紀雄著(東洋経済新報社、2010年)

専門外の導入には慎重たるべき、と言いながら社会科学の専門家の知見を推していますが、戦前、戦中、戦後という区分けをどう考えるかにおいて、いまや賛否はあるにせよ欠かせない書でしょう。戦時の制度が戦後長く続いたこと、それが意識をも規定していることを指摘した点で、人文科学でも無視しえない書と言えます。

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『日本人捕虜 : 白村江からシベリア抑留まで』
秦郁彦著(原書房、1998年)

長谷川伸『日本捕虜志』を引き継ぐ、というところから出発しながら、内外の公文書、尋問記録、聞き書き、文学作品、と広汎な資料を駆使した研究書。

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『捕虜の文明史』
吹浦忠正著(新潮社、1990年)

秦郁彦の書よりはやく、古今東西の捕虜について、国際赤十字での勤務体験をも活かした記述を行っており、日本文学の引証には、文学研究の側からのさらなる考究の要を痛感させられます。

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