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原 幸一 先生(文学部)

2016.06.01


『新凍りついた瞳 (め)』
椎名篤子著 (集英社 , 2003)

児童虐待防止法施行以前より、さまざまな理由から家庭内で不当に扱われている子ども達は存在していた。法的な整備がなされ、基準が明確化することで児童虐待への対応数は増加し、その後も児童虐待の通報件数は減ることはない。出生率は減少しているが子どもへの不当な扱いは減少せず、現実は変わらない。その現実を垣間見ることができる書籍である。

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『自閉症スペクトル : 親と専門家のためのガイドブック』
ローナ ・ ウィング 著 ; 久保 紘章, 佐々木 正美, 清水 康夫 監訳 (東京書籍 , 1998)

「アスペルガー障害」とされる名称は診断基準の変更にともない無くなり,その状態の一部は「自閉症スペクトラム障害」にまとめられた。本書は自閉症の状態像から対応についての知識を網羅した教科書である。現在、さまざまな自閉症関係の書籍に記載されていることがらの多くは本書でまかなうことができる。少し古いものの自閉症領域の基礎としての一冊である。

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『跳びはねる思考 : 会話のできない自閉症の僕が考えていること』
東田 直樹 著 (イースト ・ プレス, 2014)

自閉症をもつ方々が何を考えているのか、それを知ることは当事者がことばを持たない場合には難しい。ことばを持つ場合には本人に訊ねれば良いと思われるかも知れないが、それも実はうまくいかないこともある。現在は作家である著者が表現する世界と状態が自閉症の本質であると考えることは自閉症自体を再考する良い機会になるのかも知れない。著者によるオフィシャルブログもあります。

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『自閉症の脳を読み解く : どのように考え、感じているのか』
テンプル ・ グランディン, リチャード ・ パネク 著 中尾 ゆかり 訳 (NHK出版 , 2014)

著者は高IQ群に属する自閉症を持ち、コロラド州立大学教授である。自分自身の状態、自閉症自体について説明を脳の機能を前提に感覚から認知処理の独自性と関連させて論理的に説明している。本人の状態を本人が説明することで理解できることは多い。関連分野の学部生、院生にとっては適当な量と質の書籍である。

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『自閉症だったわたしへ』
ドナ ・ ウィリアムズ [著] ; 河野 万里子 訳 (新潮社 , 2000)

自閉症者本人が自身の感覚、感性について記述した本の著者としてはパイオニアのひとりである。有名であるためすでに読まれている方も多いかも知れない。本書出版の後に日本でも当事者による出版が続いた。自閉症の方が示す、常同行動の意味を解説することで対応への理解を促すことができる情報を知ることができる。原題は「Nobody Nowhere」である。

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『自閉症児の「きょうだい」のために : お母さんへのアドバイス』
サンドラ ・ ハリス 著 ; 遠矢 浩一 訳 (ナカニシヤ出版 , 2003)

誰かが何か機能不全を抱えている時、その当事者のみの変化を求めることは困難であることも多い。そして、その周辺の人々への対応が非常に重要であることに気がつく。きょうだい(兄弟姉妹)の支援については自助グループなどが先行して発展してきている。本書は自閉症のもつ特殊性を考慮したきょうだい支援の解説書である。

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『虐待 : 沈黙を破った母親たち』
保坂 渉 著 (岩波書店 , 2005)

児童虐待の問題の直接解決は座学では困難である。現実に対応しながら各事例をより適切に導く働きが必要となる。そして、その要因は多様である。児童虐待の加害者としての母親の事例を取材している本書からは要因のいくつかを知ることができる。児童虐待防止法以前の事例であるが、予防の手がかりは少ないながらも提示されている。

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『思考と言語』
ヴィゴツキー 著 ; 柴田 義松 訳 (新読書社 , 2001)

心理学を専攻していた学生時代に興味を持っていた「思考」に関して最初に読んだ著書である。発達研究者である著者は、現在で云えば特別支援教育の対象となる子ども達の情報などを含めて「思考」と「言語」の関係について緻密に構成している。他の発達心理学者(ピアジェ)との考え方の違いなど当時の心理学での論争を理解することができる。それは今でも新しいと思われる。教職科目で学習する「内言」「発達の最近接領域」等の概念の原点を知ることができる。

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『脳のなかの幽霊』
V. S. ラマチャンドラン, サンドラ ・ ブレイクスリー 著 ; 山下 篤子訳 (角川書店 , 1997)

現在は心理学でのさまざまな現象が脳の機能で説明される。30年、私の学生時代には事故などにより失った部位に感覚を覚える幻肢痛は心理学においても謎とされていた。その要因を非常にシンプルに脳機能が要因であったことを著者は解説した。自己とは脳を通じて現実を内在化している主体であることを知ることができる。著者のオリジナル研究論文も併せて読むことをお勧めします。

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『絵で見る幕末日本』
エメェ ・ アンベール [著] ; 茂森 唯士 訳 (講談社 , 2004-2006)

江戸時代に日本人がどのように過ごしていたのか、幕末期に外国の視点から見た記録のひとつである。スイス国籍である著者は1863年に来日している。近代文明化以前の日本をスケッチとともに記述している本書では写実的な描画が当時の状況を視覚的に想像する手がかりとなる。日本の文化について時間を隔て客観的に知ることができる。

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