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宝月 誠 先生(産業社会学部)


『自殺論』
E.デュルケーム著 宮島喬訳(中央公論社、1985(原著出版1897))

一見個人的な事情に起因すると思われる「自殺」が、人びとが埋め込まれているマクロな社会状況や集合意識の潮流によって支配されていることを明確に論じた社会学の古典中の古典。「実証主義」や社会学の「集合的方法」を学ぶ上でも最適のテキスト。

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『生活史の社会学』
W.I.トーマス、F.ズナニエツキ著、桜井厚訳(御茶の水書房)

20世紀のアメリカ社会学が生み出した記念碑的作品『ヨーロッパおよびアメリカにおけるポーランド農民』の部分訳。理論や解説の箇所を主とした翻訳のために、本書の本来の魅力が充分に伝わらないのは残念であるが、幸い原書は修学館図書に所蔵されている。移民が新た生活環境にどのように適応していくのかを読み解く視点が、興味深く示されている。

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『アウトサイダーズ』
H.S.ベッカー著、村上直之訳(新泉社、1978(原著1963))

研究者になりたての頃まだ翻訳はなかったが、夢中で徹夜して読んだ懐かしい本である。マリファナ被用者やダンス・ミュージシャンたちがドラッグやジャズにどのような意味を付与し、それが相互作用過程を通じていかに変容していくのかを明晰に分析している。いわゆる「ラベリング論」の古典としても有名な本である。

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『ジャック・ローラー』
クリフォード・R・ショウ著、玉井眞理子・池田寛訳(東洋館出版社、1998(原著1930))

スタンレーとよばれる青年の手記を主なデータとした非行少年の生活史の分析であるが、 少年自身を取り巻く生活状態や人間関係と少年自身の態度が手に取るようにわかる。手記 など質的データを用いた「ナラティブ分析」としても社会学の分野の中では先駆的な作品 で、シカゴ学派社会学の代表的な作品のひとつである。

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『スティグマの社会学』
アーヴィング・ゴッフマン著、石黒 毅訳(せりか書房、1973(原著1968))

マイノリティや逸脱者、傷害ある人たちは社会からスティグマ(烙印)が貼られ、差別 される現実を、「関係論」の視点から解き明かした作品である。スティグマはその人に固有 の属性に基づいて付与されるものではなくて、付与する者とされる者の関係性によって左 右される社会的アイデンティティであり、さらに情報操作によっても変化するものであ ことが、巧みに事例を挙げながら説得的に論じられている。

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『冷血』
トルーマン・カポーティ著、佐々田雅子訳(新潮社、2005(原著1965))

「アキバ」など青少年によるショッキングな殺人事件についての評論がさかんである。 そうした表層的で勝手な解釈とは異なるより研ぎ澄まされたスト-リーがカポーティの小 説によって展開されている。加害者だけでなく、事件の生じた状況、被害者、コミュ ニティの住人の反応などを含むディテールな描写がすばらしい。社会学者が文学者から教 えられる重要な一冊である。佐々田さんの語り調子をいかした新訳はそれまでの滝口直太 郎訳とは違った魅力がある。

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『都市を飼いならす』
松田素二著(河出書房新社、1996)

アフリカのナイロビのスラム地域に単身飛び込み、参与観察によって都市への出稼ぎ民 の日常生活と故郷の村の有様を社会学や人類学の方法を用いて活写した力作。出稼ぎ民の都市生活の知恵や故郷への憧憬のシンボリズムなど興味深い。松田さんの若いときの作品であるが、若い読者にも是非こうしたフィールードワークを体験してもらいたい。

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『豊島 産業廃棄物不法投棄事件』
大川真朗著(日本評論社、2001)

瀬戸内海に浮かぶ小島「豊島」に不法投棄された大量の産業廃物を撤去させるために立 ち上がった地域住民の闘争を、それに関わった弁護士がまとめた記録である。生活や環境 保護の大切さは理念として誰しもが語るが、いざそれを守る・回復するとなるとどれほど の壁が立ちはだかっているのかが、本書によってよくわかる。住民運動の真の「敵」を知 り、それに対応するには何が必要かを教えてくれる社会運動論の社会学のテキストとして も一級品である。

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『社会理論と社会構造』
ロバート・K・マートン著、森東吾・ほか訳(みすず書房、1961(原著1957))

大部な本であるが、機能分析や準拠集団論、アノミー論、宣伝の研究、方法論など社会 学のアイデアが一杯詰まっている古典である。全部を読み通そうとするのではなくて、興 味を覚えた箇所を拾い読みするだけでも、別の視点から社会を捉えることができるように なる。マートンの門下生からは秀才が輩出したが、こうした刺激的な本を書く先生の下で 育てられれば、さもありなんと思われる。

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『社会状況の分析』
J・ロフランド&L.ロフランド著、進藤雄三・宝月誠訳(恒星社厚生閣、1997(原著3版1995))

社会調査に関するテキストは多いが、本書はフィールドで社会調査を進め、質的なデー タを収集する際に心得ておきたい手順をわかりやすくかつ詳細にまとめたアメリカでも定 評のあるテキストである。「データの集め方」「問いの立て方」「データの分析の仕方」など を学ぶことができる。社会学など社会科学は本を読むだけでなくて、自らデータを集め、 分析することが重要であるので、こうしたテキストが参考になる。

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『リフレクシヴ・ソシオロジーへの招待』
ピエール・ブルデュー、ロイック・ヴァカン著、水島和則訳(藤原書店、2007(原著、1992))

「文化資本」や「ハビトゥス」などは社会科学の世界では今では常識になっているが、それらの概念を理解するのに本書は便利である。二人の対話形式で書かれているために、比較的わかりやすい。ただ、プルデューの基本概念を知るだけでなくて、二元論克服、関係論的思考の徹底といった彼の苦渋にみちた方法論への挑戦やプラグマティズムとの関係も見落とすわけにはいかない。ポストモダン論などの論議の好きな方へのお薦めのアドバンスコースの一冊。

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