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松下 冽 先生(国際関係学部)


『国民国家と暴力』
アンソニー・ギデンズ著 松尾精文、小幡正敏訳(而立書房)

ギデンズ社会学の到達点の一つを示す文献。国民国家と資本主義や工業主義との結びつき、国民国家に内包されている政治的暴力や軍事力や監視、そしてモダニティの諸次元など幅広い知的議論を展開している。同著者の『近代とはいかなる時代か? : モダニティの帰結』とともに社会科学を学ぶ学生にはこの分野での必読書。

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『新自由主義 : その歴史的展開と現在』
デヴィッド・ハーヴェイ著 森田成也 [ほか] 訳 、 渡辺治監訳(作品社)

新自由主義の本質を理解するのに不可欠の基本文献の一つ。資本による「階級権力の復活」と、このための広範な「同意の形成・調達」が周到に試みられたことを幅広い視点から分析している。わが国における民営化や規制緩和の政治・経済動向を考える基本的視角を提供してくれる。

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『20世紀の歴史 : 極端な時代(上)・(下)』
エリック・ホブズボーム著 河合秀和訳(三省堂)

20世紀後半を代表する博学な歴史家による激動の世紀の鋭い洞察。1917年生まれの著者にとっては、本書はまさに同時代を生きた自叙伝ともいえる物語である。学生時代にゆっくりと20世紀を振り返り、遠くない過去を熟考するのに最適な現代史。

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『政治体制』
山口定著(東京大学出版会)

先進諸国を中心にした「自由民主主義体制」論であるが、内外の政治学の展開を整理し、政治体制研究の優れた高水準の基本書。若干、古くなったこと、また途上国における政治的諸問題への論及が不足しているが、政治学を学ぶ学生には適切な案内書としての役割も果たす文献である。

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『EU経済統合の地域的次元 : クロスボーダー・コーペレーションの最前線』
若森章孝 [ほか] 編著(ミネルヴァ書房)

クロスボーダー型協力という観点から、EUにおける国境を越える地域経済圏の形成とそのガバナンス構造を考察している。海外調査に基づく共同研究の成果である。EUにおける地域政策の展開のみならず、リージョナリズムとガバナンス研究の現状を知ることができる研究書。

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『アメリカ帝国のワークショップ : 米国のラテンアメリカ・中東政策と新自由主義の深層』
グレッグ・グランディン著 山根健至、小林操史、 水野賢二訳、 松下冽監訳(明石書店)

著者は、現代ラテンアメリカおよび中米に関する鋭い歴史的洞察力をもった注目すべき研究者。ネオリベラリズムの創出・発展を米国とラテンアメリカとの歴史的関係史のなかに見出している。とくに、米国内のネオコンが誕生してくる国内諸勢力の再編過程と中米政策との関連についての分析に優れている。

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『収奪された大地 : ラテンアメリカ五百年』
E・ガレアーノ[著]  大久保光夫訳(藤原書店)

ラテンアメリカの搾取と収奪、暴力と支配の500年にわたる通史を構造的に描いた名著。 従属論的視点から叙述しているため、個々の論述は問題が残る。だが、ヨーロッパ近代の形成を含め、世界史的な視野からラテンアメリカの収奪の歴史を描ききったその構想力は他に類書がない。

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『市民・政府・NGO : 「力の剥奪」からエンパワーメントへ』
ジョン・フリードマン著 斉藤千宏、 雨森孝悦監訳(新評論)

オールタナティブな開発をエンパワーメント過程に位置づけて包括的に提案している。彼の目指す開発を市民だけでなく、またNGOだけでもなく、政府の重要な役割も指摘し、「世帯」からナショナルなレベルまでの政治的、経済的、社会的なエンパワーメントを強調する。若干、難解な箇所もあるが、この分野での意欲的な理論書。開発の総合的視点を認識するのに有益な基本書で、開発関係に関心ある読者にはとくに推薦する。

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『収奪のポリティックス : アラブ・パレスチナ論集成1969-1994』
エドワード・W・サイード著  川田潤 [ほか] 訳(NTT出版)

知識人としてのサイードの自己形成の過程を知ることができる。彼はパレスチナを取り囲む状況に鋭い批判の目を向けるが、それはイスラエル、合衆国のみならず、アラファトをはじめパレスチナの人々にも向けられる。単純な二分法から対立を煽る政治学を批判する。パレスチナ問題に文化的な側面の理解を含めて考察しているのも本書の特徴である。

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『経済の文明史(ちくま学芸文庫 ; ホ9-1)』
カール・ポランニー著 玉野井芳郎、 平野健一郎編訳、石井溥 [ほか] 訳(筑摩書房)

『大転換』の主著で知られる著者の仕事のエッセンスを網羅した論文集。市場経済のグローバルな展開・拡張、それへの対抗運動が生成する今日、市場経済を批判する彼の眼差し、二重運動論の分析と発想は今なお興味つきない。「市場」万能の論調が広まっているなかで、社会と市場との関係を考えるのに適切な古典。(なお、期間中に展示されているものは、1975年に日本経済新聞社から出版された図書館所蔵のものになります)

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『帝国を壊すために : 戦争と正義をめぐるエッセイ (岩波新書 ; 新赤版 852)』
アルンダティ・ロイ著 本橋哲也訳(岩波書店)

インド・ケーララ生まれの著者による、本書副題にあるように「戦争と正義をめぐるエッセイ」である。帝国、戦争、暴力、偽善、腐敗など現代の政治や社会問題を民衆の立場から洞察し発言している。だれでも知っている問題を著者とともに深く考えてみる、そのような一冊の本である。

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『自由を耐え忍ぶ』
テッサ・モーリス‐スズキ [著] 辛島理人訳(岩波書店)

9.11以降、世界各地で進行する「劣化する民主主義」、「暴走する市場」、「知の囲い込み」、「戦争の民営化」といった危機的事態の根源を考察している。その上で、「自由の再生」と「民主主義の再考」を個々人の日常生活の次元から構築し、抵抗するオールタナティブを探っている。海外に目を向けるだけでなく、身近なところの民主主義と人権を考える一冊。

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『ハーバマスと公共圏』
クレイグ・キャルホーン編 山本啓、新田滋訳(未來社)

「ハーバマスと公共圏」と題するシンポジウムをもとに編集された刺激的な論文集。ハーバマスの著作に刺激されて、フェミニズム、批判理論、文化研究、民主政治、社会運動、コミュニケーションなど様々な問題が学際的に論じられている。ハーバマスの多面的かつ複雑な議論を整理できる1冊。

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『フーコー・ガイドブック(ちくま学芸文庫 ; フ21-8 . フーコー・コレクション)』
ミシェル・フーコー著 小林康夫、石田英敬、松浦寿輝編(筑摩書房)

文字通り、思想家・フーコーの思想のエッセンスを集約したガイドブックである。フーコーの著書を手に取るのはなかなか難しい。しかし、このガイドブックから彼の思想に分け入ってみるのも手である。『狂気の歴史』、『言葉と物』、『知の考古学』、『監視と処罰』など主要著作の解説がある。

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『「世界」主要論文選 : 1946-1995 : 戦後50年の現実と日本の選択』
『世界』主要論文選編集委員会編(岩波書店)

戦後日本を知らない世代が増えたが、歴史を、少なくとも戦後史の歩みを知ることは今と将来を考えるうえで不可欠であろう。本書には、50年間で『世界』が掲載した1万篇を超える論文・エッセイの中から63篇が厳選されている。丸山眞男「超国家主義の論理と心理」など学生諸君に読んで欲しい論文が収められている。図書館に所蔵されている『世界・憲法論文選1946-2005』も同様。

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『議論好きなインド人 : 対話と異端の歴史が紡ぐ多文化世界』
アマルティア・セン著 ; 佐藤宏, 粟屋利江訳(明石書店)

ノーベル経済学受賞者のセンが、「声と異端」、「文化とコミュニケーション」、「政治と異議申し立て」、「理性とアイデンティティ」の4部に分け、対話と異端の歴史が紡ぐ多文化世界インドについて語っている。伝統、多文化と統合などインドの深く多面的な側面を再確認させられる興味深い書。

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『日本人をやめる方法(ちくま文庫 ; す6-1)』
杉本良夫著(筑摩書房)

刺激的、挑発的なタイトルである。しかし、本書の内容は日本人論、日本社会論であり、日本の現状を考えるのにすぐれて具体的題材を提供している。「日本人をやめる」とは、日本にある束縛的なもの、非民主的な枠組み、非人間的構造を作り替えることである。

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『ゴヤ:1 スペイン・光と影(朝日文芸文庫 ; ほ7-3)』
堀田善衛著(朝日新聞社)

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『ゴヤ:2 マドリード・砂漠と緑(朝日文芸文庫 ; ほ7-4)』
堀田善衛著(朝日新聞社)

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『ゴヤ:3 巨人の影に(朝日文芸文庫 ; ほ7-5)』
堀田善衛著(朝日新聞社)

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『ゴヤ:4 運命・黒い絵(朝日文芸文庫 ; ほ7-6)』
堀田善衛著(朝日新聞社)

画家ゴヤの評伝。近代画家の先駆者の複雑な生涯を、スペインおよびヨーロッパの近代史の激動と交差させて大作に描ききっている。徹底した調査と資料収集、構想力を示した著者の姿勢は歴史学、社会科学を学ぶ者にも驚きである。

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