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佐藤 誠 先生(国際関係学部)


『危機の二十年 : 1919-1939』
E.H.カー著、井上茂訳(岩波書店)

歴史学者としても知られる著者による国際関係論の古典。ユートピアニズムとリアリズムの拮抗と緊張のなかに国際政治の現実把握と平和への希求をみる。国際関係論における現実主義の鼻祖として位置づけられることの多いカーだが、現実はもっと複雑である。

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『国際社会論 : アナーキカル・ソサイエティ』
ヘドリー・ブル著、臼杵英一訳(岩波書店)

主権国際システムは中央権力をもたない点でアナーキーだが、なお独自の秩序をもつ社会であるという立場から、中世欧州で国家が教皇などと権威を分かち合っていたごとき新中世主義の到来を予測する。国際関係論における独自の潮流、英国学派の基本文献の一つ。  

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『国際理論 : 三つの伝統』
マーティン・ワイト著、佐藤誠 [ほか] 訳(日本経済評論社)

国際社会に対する認識の歴史を、マキャベリ主義(現実主義)、グロティウス主義(合理主義)、カント主義(革命主義)という3つの伝統の交錯として説明する。政治学、哲学、法学、古典文学などに対する圧倒的な教養が著者を支える。これも英国学派の基本文献。

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『オルター・グローバリゼーション : 知識とイデオロギーの社会的構成』
ジェームズ・ミッテルマン著、奥田和彦・滝田賢治訳(新曜社)

「地球村」とは、勝者と敗者の間の拡大する格差を隠す神話。反グローバリゼーションではなく、オルター(もう一つの)グローバリゼーションこそ目指すべき方向、と著者は説く。客員教授として立命館で教えたこともあり、その時の調査結果も本書に生かされている。  

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『グローバリゼーションの倫理学』
ピーター・シンガー著(昭和堂)

さまざまな社会の間の貧富の差という不正義を無視して同じ社会に属する者どうしの原則選択を説いていると、ロールズの『正義論』を著者は批判する。グローバリゼーションによって国境の外の人々の悲鳴が聞こえるようになった現在、倫理は国境で立ち止まるべきではない、と言うのである。  

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『格差と亀裂(グローバル・ソシオロジー:1)』
ロビン・コーエン、ポール・ケネディ著、伊藤茂訳(平凡社)

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『『ダイナミクスと挑戦(グローバル・ソシオロジー:2)』』
ロビン・コーエン、ポール・ケネディ著、伊藤茂訳(平凡社)

グローバリゼーションについてのテキストだが、とおり一遍の概括にとどまることなく、バランスよいトピック選択と分析がなされている。ときには理論的な論争にも言及し、またグローバルな亀裂と抵抗社会運動にも注目している。

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『安全保障の今日的課題 : 人間の安全保障委員会報告書』
人間の安全保障委員会著(朝日新聞社)

人間安全保障にかかわるいわゆる緒方・セン委員会が国連事務総長に提出した最終報告書。「欠乏からの自由」と「恐怖からの自由」で人間安全の把握を試みる。発展途上概念だけに様々な議論があり、本書も一つの見方を示す資料としてみるべきであろう。

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『予防外交』
森本敏, 横田洋三編著(国際書院)

1992年のガリ国連事務総長の「平和への課題」報告以来、予防外交はさまざまに論じられてきた。本書はカレントな情勢を知る点では多少資料が古くなったが、基本的な問題点を把握するうえではなお学ぶことが多い。

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『新戦争論 : グローバル時代の組織的暴力』
メアリー・カルドー著、 山本武彦・渡部正樹訳(岩波書店)

国家間の武力衝突、組織的犯罪、大規模な人権侵害の境界がなくなった冷戦後の武力紛争を「新しい戦争」と名付け、局地的でありながら国際的背景をもち、アイデンティティに基づく権力追求などに特徴をみる。解決の方向としてコスモポリタンなガバナンスに注目する。

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『現代アフリカの紛争 : 歴史と主体』
武内進一編(日本貿易振興会アジア経済研究所)

日本人研究者によるアフリカ紛争研究として画期をなす。児童兵、民間軍事会社などについてその後さまざまな研究が出されたが、なお本書は独自の価値をもつ。「民族(「部族」)問題」に一元化する傾向に対して、国際的な背景や構造調整のもたらした影響を指摘する。  

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『最底辺の10億人 : 最も貧しい国々のために本当になすべきことは何か?』
ポール・コリアー著、中谷和男訳(日経BP社)

世界銀行で活動した著者は、開発途上国一般ではなく、紛争・天然資源・内陸国・悪いガバナンスという4つの罠に囚われた最底辺58カ国(ほとんどがアフリカ)の10億人に開発の焦点を絞るべきであるとする。軍事介入への過剰期待など疑問もあるが、論争の書。誤植が多いので注意。

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『アフリカ経済論』
北川勝彦・ 高橋基樹編著(ミネルヴァ書房)

アフリカを考えるうえで、紛争とならび無視できないのは経済停滞である。だが、21世紀に入りアフリカ経済は膨大な格差を抱えながらも成長し始めている。アフリカの経済を取り巻く問題点を、歴史、部門別産業、さらには国際社会と援助までわかりやすく論じる。

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『自由と経済開発』
アマルティア・セン著、石塚雅彦訳(日本経済新聞社)

開発を論じたセンの著作のなかでも包括的であり読みやすい。原題は「Development as Freedom(自由としての開発)」。開発(発展)の終局の目的は自由の獲得であり、経済成長だけに還元されるものではない、というセンの考え方からすれば、邦訳題名はおかしい。

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『国際社会福祉論』
ジェームス・ミッジリィ著(中央法規出版)

著者は社会開発論の代表的研究者。社会福祉、社会開発、ソーシャルワークの比較検討から始まり、受益者と負担者(納税者)ともに国民を対象として国家が担ってきた現代福祉国家のサービスが、脱国境化によってどのように変化するのかに焦点が当てられる。

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『ソーシャル・キャピタル : 社会構造と行為の理論』
ナン・リン著、筒井淳也 [ほか] 訳(ミネルヴァ書房)

先進国においても途上国においても何らかの行為(たとえば開発)を推進するためには、物質的資源だけでなく目に見えない社会的人間関係(社会関係資本=ソーシャル・キャピタル)が重要だとする認識が広まっている。宮本憲一が展開させた「社会資本論」と比較することもできるだろう。

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『日本文明と近代西洋 : 「鎖国」再考』
川勝平太著(日本放送出版協会)

インドに発した木綿が西へ伝播してはイギリスの産業革命を引き起こし、東に伝播しては日本の勤勉革命を引き起こしたというオリジナルな文明論。梅棹忠夫以来の系列のなかに位置づけることもできるであろう。他の著作ともあわせてみるところ、著者の立場は梅棹と同じくユーラシア中心主義的。

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『比較文明学を学ぶ人のために』
伊東俊太郎編(世界思想社)

グランド・セオリーを拒絶する傾向が最近は強いが、グランド・ドグマのない時代であるからこそ、地球規模で文明のありかたを考えることも時には必要であろう。指導的論者の寄稿による読みやすい入門書。

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『北槎聞略 : 大黒屋光太夫ロシア漂流記』
桂川甫周著、亀井高孝校訂(岩波書店)

18世紀末、伊勢の船頭、大黒屋光太夫はアリューシャン列島に漂着し、10年に及ぶロシア滞在ののち帰国した。本書は蘭学者である著者による光太夫からの聞き書き。光太夫の公平で堂々とした異文化体験と鋭い観察眼は、江戸時代を鎖国という視点でのみ捉える危うさを示唆する。

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