立命館大学図書館

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品田 隆 先生(映像学部)

 

シナリオは映画の設計図であり、小説と比較して簡略化された文章表現で構成されています。映画とはシナリオだけで語られるものではなく映像化して初めてその形態を成し作品になるからです。しかし優れたシナリオは文字表現としても素晴らしく卓越した映像作品を生む。シナリオを読み解き、その具現化した映像を観る事で監督の演出意図が見えてきます。名作と言われる作品をシナリオと完成作品とを比較することでイメージをどう具現化したらいいのかというヒントを見出せてもらえればと思います。


『全集黒澤明』
黒澤明著 (岩波書店 、1987-2002年)

黒澤明は日本が誇る映画芸術家である。その強靭なヒューマニズムに貫かれたシナリオには,人々の熱血をたぎらせた映画創造の秘密がひそんでいる。シナリオを読み解くことで黒澤映画の核心を探究してほしい。

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『七人の侍』
黒澤明監督(東宝 、1954年)

黒澤作品の中でも代表的な作品「七人の侍」。スピルバーグやルーカスが黒澤作品を崇拝、研究し、自身の作品にも影響を与えたのは有名な話。そのシナリオと実際に映像化された作品を観ることで、黒澤監督の演出術を学んでください。

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次の二作品はシナリオが同じで監督が違うという比較です。

『椿三十郎』
黒澤明監督(東宝、1962年)

1962年に公開された、巨匠・黒澤明監督と主演・三船敏郎コンビの不朽の名作「椿三十郎」。一見、無精ひげを生やしたただの素浪人。しかし類まれなユーモアで人を煙に巻き、卓越した知恵で多くの試練を乗り越え、その必殺の剣で絶体絶命の危難をなぎ倒す。椿三十郎というシナリオのキャラクターを黒澤監督が現実の映像へどのように演出したか研究してください。

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『椿三十郎』
森田芳光監督(2007年)

黒澤明の傑作を、脚本はそのままにして21世紀のキャスト&スタッフで映画化したのが本作。同じシナリオであるが監督、キャストが違うことでイメージが一変する。黒澤作品と森田作品を比較して観ることでキャストとは何か、演出とは何かが垣間見られます。→こちらの映像資料は図書館での所蔵はありません。

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『小津安二郎全集』
小津安二郎著(新書館、2003年)

現代にはないゆったりとしたシナリオの会話構成は、不思議なリズム感、作品全体の雰囲気を作り出している。名匠小津監督のシナリオから一言の台詞の重み、意味、重要性を読み取ってもらいたい。

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『麥秋』
小津安二郎監督(松竹、1951年)

家族の幸福な『時』と『別れ』を描く、人間群像劇。

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『お茶漬の味』
小津安二郎監督(松竹、1952年)

夫婦のすれ違いと和解を、多彩な人物を配して描く。

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『東京物語』
小津安二郎監督(松竹、1953年)

親子の断絶を描き出した、小津映画の最高傑作。

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『早春』
小津安二郎監督(松竹、1956年)

倦怠期を迎えた夫婦の危機を、シリアスに描いた意欲作。

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『山田洋次作品集』
山田洋次著(立風書房 、1979-1980年)

立命館映像学部の客員教授をされた山田洋次監督。フーテンの寅さんを描く一方で、真面目に生きる普通の人々を、丁寧に描き続けてきた山田監督。地道な労働への敬意、市井に生きる人々の善良さや固い絆、喜びや悲しみを共感こめて描いた、山田洋次人間讃歌ともいうべきシナリオ集。シナリオを読んだ後にト書きがどのような映像になっているか完成作品を通して学んでほしい。

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『幸福の黄色いハンカチ』
山田洋次監督(松竹、1977年)

1977年10月に公開され、あらゆる世代の観客を集め大ヒットを記録。その年の映画賞を独占した、日本映画史に残る不朽の名作です。高倉健を主演に迎えて描いた傑作ロードムービー。最後の黄色いハンカチのシーンは圧巻です。シナリオでは描けない映像の迫力、力が理解できると思います。

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『家族』
山田洋次監督(松竹 、1970年)

高度経済成長下、長崎から博多、福山、万国博で賑わう大阪、東京、東北の寒村を経て根釧原野の開拓村まで日本列島3000キロの長旅。わずか数日の間に、想像も及ばぬ困難や悲しい事故に直面し、驚きと言いしれぬ焦燥感にかられる家族の人間模様です。典型的なロードムービー。シナリオからいかにドキュメンタリー的にリアルに演出したかを研究してください。

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『故郷』
山田洋次監督(松竹、1972年)

高度経済成長下、時代の波に翻弄される家族の姿を倍賞千恵子主演で描いた感動作品です。庶民が一生懸命に働く汗を感じさせる作品です。シナリオでは描けない作品の空気感を感じてください。

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『同胞 (はらから)』
山田洋次監督(松竹、1975年)

岩手の過疎の村で、青年会が劇団公演を計画し成功させるまでを描く青春映画。現地で実際に起きた話を元にしており、モデルとなった「統一劇場」が公演シーンを演じています。シナリオ展開からの演出術を学んでください。

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