筒井 淳也 先生 (産業社会学部)
2021.07.01
『グローバリゼーション・パラドクス:世界経済の未来を決める三つの道』
ダニ・ロドリック著; 柴山桂太、大川良文訳(白水社、2014年)
「民主主義、国家主権、グローバリゼーションの3つ同時を実現することはできない」という世界の政治経済のトリレンマを提起した本。中国の台頭がかつて叫ばれていた「民主制と経済成長の親和性」という神話を掘り崩したあとの、世界秩序について考える際のメルクマールになる著作。
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『日本社会のしくみ : 雇用・教育・福祉の歴史社会学』
小熊英二著(講談社現代新書、2019年)
海外経験があると感じるはずだ。日本だけ、他の国と違うことが多すぎる。特に働き方、職の見つけ方が全く違う。「雇用」を軸に、現在の日本社会の成り立ちを読み解く、社会学分野の必読本。
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『21世紀家族へ[第四版]』
落合恵美子著(有斐閣、2019年)
筆者が家族社会学者となるきっかけとなった、個人的に強烈な影響を受けた本。「戦後、女性は主婦になった」という有名なフレーズとともに日本のロングセラーとなり、海外でも多く翻訳されている名著。
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『平安朝の母と子:貴族と庶民の家族生活史』
服藤早苗著(中公新書、1991年)
現在もまだ断片的に残る家父長制発端となった、女性が男性に「従属」した「家制度」の成立過程を丁寧に説明してくれる。安易な保守的思想にはまる前に、歴史家が明らかにしてくれた自分たちの来歴を知ることは重要である。
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『中国経済講義:統計の信頼性から成長のゆくえまで』
梶谷懐著(中公新書、2018年)
中国について知らずして、将来の世界を思い描くことはできない。どの国にとっても、中国は避けて通れない「課題」だ。何が中国の経済成長を支え、何がそこで問題になっているのか。この本は、緻密なデータ・資料から堅実な知見を提起してくれる。
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『移民と日本社会 : データで読み解く実態と将来像』
永吉希久子著(中公新書、2020年)
こんなにわかりやすく日本における「移民」の現状を説明してくれる本はほかにない。混乱しがちな移民に関する議論を整理し、そのうえで「移民は犯罪を増加させるか」などの疑問に、データを用いて丁寧に回答している。
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『原因を推論する : 政治分析方法論のすゝめ』
久米郁男著(有斐閣、2013年)
現在の文系学問のひとつの「標準」となった因果推論。この本は、テクニカルな計量モデルの話だけではなく、政治学分野での豊富な事例とともに「因果」を軸とした研究成果を解説している。
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『科学哲学の冒険 : サイエンスの目的と方法をさぐる』
戸田山和久著(NHKブックス、2005年)
「科学者は何をしているのか」「科学的であるとはどういうことか」という科学哲学の問いは、ますます「サイエンス化」している文化系の研究者への問いかけでもある。「学問によって、自分たちは何をしているのか」について考えるために、足元をみつめなおすわかりやすい導入。
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『ウィトゲンシュタインはこう考えた : 哲学的思考の全軌跡1912-1951』
鬼界彰夫著(講談社現代新書、2003年)
現代哲学の源流であり、到達点でもあるウィトゲンシュタインの思想についての、骨のある入門書。著者の鬼界は難解なウィトゲンシュタイン解釈を展開する研究者で知られている(らしい)が、本書は違うようだ。哲学入門の入り口としては敷居が高いが、ウィトゲンシュタインに興味がある人にとってはうれしい一冊。
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『壁の向こうの住人たち:アメリカの右派を覆う怒りと嘆き』
A.R. ホックシールド著; 布施由紀子訳(岩波書店、2018年)
現代は「Strangers in their own land」である。「異文化」の探求は、近代化されていない民族を対象とした人類学的フィールドワークの仕事であった。しかし21世紀現在、最も「理解しがたい」人たちが同じ国にたくさんいる。質的調査を専門とする社会学者によるトランプの時代の研究。
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