山本 圭 先生(法学部)
2017.12.01
『翔太と猫のインサイトの夏休み』
永井 均 著 (ちくま学芸文庫, 2007)
僕たちの「現実」が夢じゃないって言い切れますか? 僕が見ていないときも、他人やこの世界はちゃんと存在してるんだろうか? 誰もが子どもの頃、ふっと考えたことのある疑問をめぐって、猫のインサイトが哲学へと案内してくれる。かくいう私も学生時代にこの本に出会い、哲学の世界に誘われ、いまも彷徨っています。
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『民主主義の革命』
エルネスト・ラクラウ+シャンタル・ムフ著 西永 亮,千葉 眞 訳 (ちくま学芸文庫,2012)
マルクス主義を批判し、新しい民主主義のヴィジョンである根源的民主主義(ラディカル・デモクラシー)を示した記念碑的著作。ある程度の難解さは否めないものの、私たちの民主主義についていま一度考えるための格好の指南書。
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『ラカンはこう読め!』
スラヴォイ・ジジェク 著,鈴木 晶 訳(紀伊国屋書店,2008)
精神分析といえば、小難しいジャーゴンが飛び交い、門外漢にはなかなか近づきがたいジャンルかもしれない。ジャック・ラカンについての入門書をいくつか手にとってはみたものの、やっぱりよくわからない。本書は、現代思想界の奇術師(?)であるジジェクが、豊富な具体例を交え、とにかくラカンを分かったような気にさせてくれる、初学者にオススメの一冊。
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『人はみな妄想する:ジャック・ラカンと鑑別診断の思想』
松本 卓也 著 (青土社,2015)
ジジェクを読んだ後は、今度はもう少し専門的な学術書を手に取ってみよう。本書は神経症と精神病の鑑別診断という視覚から、ラカン理論の変遷をきわめて明快に論じた秀作。後半の章では、ドゥルーズ=ガタリやデリダなど、フランス現代思想とラカンの突き合わせも興味深い。
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『都市と暴動の民衆史 : 東京・1905-1923年』
藤野 裕子 著 (有志舎,2015)
日比谷焼き討ち事件や米騒動、かつて都市は暴動とともにあった。民衆とは誰で、どうして彼らは荒ぶったのか、本書は膨大な資料の海にもぐり、これら事件の実相を立体的に取り出す歴史研究。暴動を担った人びとのジェンダーにフォーカスしている点も、本書のユニークネス。
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『暴政--20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン』
ティモシー・スナイダー 著 池田 年穂 訳 (慶應義塾大学出版会,2017)
暴政を防ぐための一つ目の教訓「忖度による服従はするな」。本書は、現代の暴政に対抗するための指南書として書かれたものであり、全部で20の教えがコンパクトにまとめられている。歴史はそう単純に繰り返すことはない、けれど歴史は私たちに教訓を与えてくれるのだ。
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『図書館の魔女 上・下』
著高田 大介 著 (講談社,2013)
本書のジャンルはたぶん「ファンタジー」ということになるのだろう。しかし「ファンタジーはちょっと…」となったあなた、そう言わずに手にとってみてほしい。物語や登場人物はもちろんのこと、繰り出される言葉一つ一つが、あなたを魅了すること請け負い。言葉の寄る辺なさと力強さを信じるすべての人に。
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