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西村 めぐみ 先生(法学部)

2025.05.1


『ルワンダ中央銀行総裁日記』(中公新書)
服部正也 著 中央公論新社、2009年

著者が、1965年から6年間、東部アフリカの小国、ルワンダ共和国で中央銀行総裁を勤めた時の記録である。私は、大学に入って間もない頃に、本書を手に取り、未だ見ぬ国、ルワンダと国際機関で働いた著者への思いをはせた。1994年、ルワンダは凄惨な虐殺の地として世界に知られることになった。追補「ルワンダ虐殺は正しく伝えられているか」では、著者のルワンダの人々への限りない敬意を感じられる一冊である。

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『夜と霧』
ヴィクトール・E・フランクル 著 みすず書房、2002年

著者ヴィクトール・E・フランケルは、ウィーンで活躍していた気鋭の精神医学者で、ユダヤ人であったというその理由だけで強制収容所に送られた。本書は収容者の怒り、苦しみ、ただ生きるための闘争の記録である。未来が打ち砕かれた翌日もしくは数日後に、期待を膨らませた心に負けて亡くなった収容者もいた。「この世には・・ふたつの種族しかいない。まともな人間とまともではない人間と」。殺戮の収容所にも「まともな人間」がいた。平和と繁栄の中の私たちはまともな人間だろうか。時代を超えて、読者に感銘を与える名著である。

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『女ざかり―ある女の回想』上・下
シモーヌ・ド・ボーヴォワール 著、朝吹登水子、二宮フサ 訳 紀伊国屋書店、1963年

若い人に勇気を与える自叙伝的回顧録である。原題は直訳すると「年齢の力」。娘時代が終わり、若き年齢の力で、「気兼ねなく、拘束なく、思うままに、怖れもなく自分の道を進んだ」人生の軌跡を描いている。ブルジョワの娘として生まれた著者が、仕事を得てマルセイユに赴任した時、運命に屈服したのではなく運命を選び取ったと感じたと回顧している。その後、著者は、何度もの挫折を経て、不断の努力で、作家として文壇に認められることになる。

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