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木村 裕樹 先生(食マネジメント学部)

2020.02.03


『事大主義:日本・朝鮮・沖縄の「自虐と侮蔑」』
室井康成著(中央公論新社、2019)

「日本人論」の最新作、であると私は思う。畏友・民俗学者である室井康成氏は旺盛な作家ともいえる。柳田国男を起点に日本近代、とくに東アジアの政治思想史を専門とする氏がこだわってきた「事大主義」をキーワードに「日本人」とは何かを捉えかえす一書。

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『近代の記憶:民俗の変容と消滅』
野本寛一著(七月社、2019)

屈指のフィールドワーカーと知られる著者は「個人誌」という手法で、膨大な人生に寄り添いながらそれを書き記してきた。一般に「伝承」に重きをおく民俗学者は「消滅」という語をあまり使わない傾向があるように感じられるが、本書を一読して1937年生まれの著者ならではのことと了解した。フィールドワーカーも同時代を生きる一個の人生なのだ。

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『文化としてのマナー』
熊倉功夫著(岩波書店、2014)

「茶の湯」はもとより日本の食文化研究の泰斗である著者によるマナー(≒礼法)の文化史。私が架蔵するのは1999年の初版本であるが、何か思うところがあって買い求めたのであろう。食文化とマナーは切りはなせない問題であるが、昨年、本書の引用に3度出くわした。社会関係の集合体としての文化は他者の「まなざし」によって作り出されるものである。「まなざし」は視線によるものだけではない。「におい(匂い・臭い)」も然りである。個人主義は近代の宿痾であるが、本書を手にして公共空間での飲食についてもそろそろ真剣に議論されなくてはならない頃か、と考えた。

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