三谷 英貴 先生(経営学部)
『これからの「正義」の話をしよう : いまを生き延びるための哲学』
マイケル・サンデル著(早川書房、2010年)
本書は、今年の春にNHK教育テレビで放送された「ハーバード白熱教室」の内容をまとめたものである。中身は政治哲学ではあるものの思想の紹介にとどまらず、現実社会が直面している正解のないさまざまな問題を取り上げ、我々はそれをどのように考えるべきかが解説されています。ただし,筆者であるサンデル教授は、考える材料は提供してくれているものの答えは出してくれていません。それを考えるのは読者であるあなた自身です。答えのない問題を秋の夜長に考えることができるのも大学生ならではの時間の使い方だと思います。
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『イノベーションのジレンマ : 技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』
クレイトン・クリステンセン著(翔泳社、2001年)
本書は「巨像と言われていたIBMがベンチャー企業だったマイクロソフトに負けたのはなぜか?」という事例を含むその他いくつかの事例を取り上げて、巨大企業がベンチャー企業に負けてしまう理由を明らかにしている。技術革新に心血を注ぐあまり、顧客の望む以上のスペックを持つ財・サービスを提供してしまうことが、逆に顧客離れを引き起こしてしまうという現象をイノベーションのジレンマという言葉で表現し解説している書物です。企業経営やアントレプレナーに関心のある方にお薦めの一冊です。
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『イノベーションへの解 : 利益ある成長に向けて』
クレイトン・クリステンセン, マイケル・レイナー著(翔泳社、2003年)
本書は、先に紹介した『イノベーションのジレンマ』への答となる位置づけの書物です。企業が成長していくにつれて生じるイノベーションのジレンマというやっかいな現象を回避しつつ、新たな成長を生み出す方法とはどのようなものなのかという解説がされています。企業経営やアントレプレナーのみならず、経営財務(コーポレート・ファイナンス)に関心のある方にもお薦めの一冊です。
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『敗者のゲーム : なぜ資産運用に勝てないのか』
チャールズ・エリス著(日本経済新聞社 、1999年)
本書は、株式市場での資産運用に関する古典的名著です。本書の冒頭「プロとアマチュアのテニスプレーヤーの違いはどこにあるのか?」という一見すると資産運用と関係のない研究に関する話が出てきます。ですが、その研究を引き合いに「資産運用会社のプロがなぜ株式市場そのものに勝てないのか?」という株式投資の本質的なテーマが分かりやすく展開されます。株式投資に関心のあるには必読の書です。
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『実況live企業ファイナンス入門講座 : ビジネスの意思決定に役立つ財務戦略の基本』
保田隆明著(ダイヤモンド社 、2008年)
本書は、経営財務(コーポレート・ファイナンス)に関する書物です。著者の保田さんは、私の役人時代の元同僚です。知り合いだからここで紹介するというわけではありません。保田さんは外資系証券会社での勤務経験、起業経験、そして現在、小樽商科大学で教官をされているという経歴の持ち主です。実務家としての経験をもとに、経営財務に関する理論がとても分かりやすく解説されてあります。大学で学んだ経営財務(コーポレート・ファイナンス)の理論が、実際はどのように使われているのかが知りたいという方にお薦めの一冊です。
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『コーポレートガバナンスの経済学 : 金融契約理論からみた企業論』
小佐野広著(日本経済新聞社、2001年)
本書は「コーポレート・ガバナンス(企業統治)をどのように考えるか?」というテーマにもとづいた学術書です。ともすると感情的になってしまいがちな「誰が会社を支配するのか?」「会社は誰のものか?」といったテーマを金融契約理論という考え方を用いてとても詳細に解説してあります。コーポレート・ガバナンス(企業統治)に関心があり、この分野を本気で勉強したいという方にお薦めの一冊です。
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『コーポレートガバナンスと人的資本 : 雇用関係からみた企業戦略』
小佐野広著(日本経済新聞社、2005年)
本書は先に紹介した『コーポレート・ガバナンスの経済学』の姉妹書という位置づけです。『コーポレート・ガバナンスの経済学』が金融からみたコーポレート・ガバナンスを解説しているのに対して、本書は労働からみたコーポレート・ガバナンスを解説してあります。敵対的企業買収、不正会計処理や株式市場での戦略的上場廃止など日本でも当たり前となった出来事が、従業員の労働や人的資本形成にどのような影響を及ぼすのかを論じた書物です。『コーポレート・ガバナンスの経済学』とセットでお薦めします。
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『現代の企業 : ゲームの理論からみた法と経済』
青木昌彦著(岩波書店、2001年)
本書は、企業組織や企業行動を理論的に分析した学術書です。筆者は、企業を、たんに市場で財・サービスを販売するための生産機械としての点とみなすのではなく、中身をともなったより豊かな実在とみなさなければ経済の実態を語ることはできないと考えています。本書の初版は1984年という20年以上も前の書物ですが、驚くなかれ、その内容は現代の企業行動を考えるうえで貴重な理論的学術的示唆を与えてくれています。
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『坂の上の雲』
司馬遼太郎著(文春文庫 、1999年)
本書は、年末に放送されるNHKのスペシャル大河ドラマの原作です。「まことに小さな国が、開化期をむかえようとしている」という一節から始まる時代小説です。秋山好古・真之、正岡子規という三人の登場人物を中心に、明治という激動の時代が描かれてあります。私は高校生の時に読みました。大学生になってからももう一回読み直しました。全八巻とボリュームはありますが、読みだすと止まらなくなります。秋の夜長にお薦めです
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『菜根譚』
洪応明 [撰](岩波文庫 、1975年)
本書は、中国の明の時代に書かれた人生訓に関する古典です。ただ単に正しい道を進めという説教じみた内容ではなく、湧き上がってくるさまざまな欲望は、人間が生きていくうえで必要不可欠ではあるものの、それらに支配されることなくそれをどのようにコントロールし生きていくべきなのかという、現実世界を意識した内容の人生訓です。古典中の古典ではあるものの、その内容は我々現代人にも通用するものとなっています。
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