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佐伯 靖雄 先生(経営学部)

 


『製品開発力 : 自動車産業の「組織能力」と「競争力」の研究』
藤本隆宏, キム・B・クラーク著(ダイヤモンド社、2009年)

日米欧の自動車メーカーを調査し、20の新車開発事例から製品開発のあり方を分析した名著です。この分野の勉強をされるならば、必ず読んでおくことをお薦めします。原著は1991年出版と古く、調査事例は主に1980年代のものですが、電機産業と違って今なお国際競争力を堅持し続ける日本の自動車産業の競争優位の源泉は、この頃から変わっていないことも分かるでしょう。

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『デザイン・ルール モジュール化パワー』
カーリス・Y・ボールドウィン, キム・B・クラーク [著] (東洋経済新報社、2004年)

技術開発や製品戦略上の重要なキーワードである、「モジュラー化」について論じた研究書です。モジュラー化はなぜ発生し、どのように進展していくのか、そしてそのことがもたらすインパクトはどのようなものがあるのかといった諸点を明らかにしてくれます。前半は技術的な解説が多いため、やや難解ではありますが、後半は経済合理性や産業構造への影響といったダイナミックな視点に移り、ぐいぐいと引き込まれます。夏休みなど長期休暇中に読むことをお薦めします。

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『イノベーションと競争優位 : コモディティ化するデジタル機器』
榊原清則, 香山晋編著(NTT出版、2006年

狭義のイノベーション(技術革新)と競争優位との関係について分析している研究書です。製造企業におけるイノベーションの推進には、通常莫大な設備投資や研究開発投資が必要になりますが、それが企業の利益獲得に貢献しなければ、成長の源泉にはなりえません。本書では、製品アーキテクチャをキーワードに、おもに日本企業のイノベーションの事例を多数紹介していますので、読みやすくなっています。

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『日本のもの造り哲学』
藤本隆宏著(日本経済新聞社 、2004年)

ものづくり経営学の分野を国際的に牽引する、東京大学の藤本先生が一般向けに書かれた本です。自動車産業の事例を挙げながら、日本の製造業の強みと課題を平易な言葉で解説しています。ものづくりの分野の勉強を始めるにあたり、まず最初に手にとって頂きたい良書です。

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『製品開発の知識』
延岡健太郎著 (日経文庫 、2002年)

製品開発論の初学者向けテキストです。新書なのでページ数が少ないのですが、コンパクトに要点が列記されていて、たいへん読みやすい本です。クラーク=藤本の『製品開発力』を読む前に一読されておくとよいでしょう。

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『経営行動 : 経営組織における意思決定過程の研究』
ハーバート・A・サイモン著(ダイヤモンド社、2009年)

原著初版の出版年は比較的新しいですが、近代組織論の古典と呼べる名著です。組織の意思決定プロセスについて書かれています。意思決定にあたり、人間は限られた状況の中で最良の選択をしようとする、限定合理性の概念が登場します。企業の意思決定もまた、この限定合理性の範疇で行われていると考えると、企業行動には時に重大なエラーが発生することも理解できると思います。本書は、全般的に内容が難しいので、読み切るには根気が必要ですが、ゼミなどで輪読してみてはいかがでしょう。

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『「命令違反」が組織を伸ばす』
菊澤研宗著(光文社新書 、2007年)

組織の失敗のうち、失敗すると分かっていても突き進んでしまう「不条理な失敗」をいかに回避すべきかを取引コストの視点から分析しています。これに対する菊澤先生の解は、タイトルのとおり「命令違反」をときに織り交ぜることです。事例は太平洋戦争中の旧日本軍であり、企業とは異なりますが、戦争という限界的状況に晒された組織の行動は、分析対象として興味深いと思います。

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『いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ : 有効需要とイノベーションの経済学』
吉川洋著(ダイヤモンド社、2009年)

『雇用・利子および貨幣の一般理論』を書いたケインズと、『経済発展の理論』を著したシュンペーターとを取り上げ、彼らの示した経済理論のみならず、同時代を生きた人間として対比させた本です。経営学部では、なかなか経済理論まで踏み込んで勉強する機会がありませんので、こういった読み物をつうじて著名な経済学者のことを知るのもいいかもしれません。

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『この国のかたち』
司馬遼太郎著(文春文庫、1993年)

経営学とは関係ないのですが、これから社会に羽ばたく学生の皆さんにぜひ読んで頂きたいと思い、推薦書に加えました。司馬氏は現実的な愛国者で、とりわけ明治期日本人の実直さと勤勉さをこよなく愛しました。それとはうらはらに、昭和の太平洋戦争を遂行した時期の日本人を「異胎」と称して激しく嫌悪しています。明治の日本人はどのような人々だったのか、そしてその背景にある近代国家の歩みを始めたばかりの日本国とはどのような存在だったのかを知ることは、GDPで世界2位の地位を譲り、かつ東日本大震災という危機に立ち向かわなければならない、まさに「今」の日本人がこれからの国家観を考えていくためのよすがとなることでしょう。全6巻。

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『坂の上の雲』
司馬遼太郎著(文春文庫 、1999年 他)

司馬遼太郎氏が愛した明治期日本人が活躍する歴史小説です。舞台は日清・日露戦争当時の日本です。あくまで小説ではありますが、当時の日本人の生き方や道徳・倫理観を知る上で、一読の価値があります。ちなみに、本書の主人公たちと私は同郷にあたり、日本海軍の連合艦隊参謀だった秋山真之、俳人の正岡子規は高校の先輩にあたる方々なので、私自身この小説には思い入れがあります。全8巻。

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