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八重樫 文 先生(経営学部)

 


『デザイン学 : 思索のコンステレーション』
向井周太郎著(武蔵野美術大学出版局 2009年)

「デザインとは、その本質において一般的な理解のされ方のような単に産業や経済や市場の ための行為ではないのです。(本文より)」僕の師匠の本。この思想に出会ってなかったら、僕の デザインの認識はとても偏狭で、今のような美術大学の外でデザインの授業を行うことなんて できなかっただろう。「デザイン学」がここにある。

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『生とデザイン』
向井周太郎著(中央公論新社 2008年)

「私の目的は従来の細分化されたデザインの専門教育を解体して、それを新たな観点で再編 したいということ。もう一つには、デザインの専門性とはいったいどういうことか、その在り方を問い、あらためてその理念やすでに専門分化したある種のデザイン教育や専門家を否定する ところに、私の出発点があったといえます。(本文より)」僕の師匠の本2冊目。世の中の 大きく根源的な問題を指摘し、それに挑む。それは紛れもなくデザインである。

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『デザインの原像』
向井周太郎著(中央公論新社 2009年)

「蝶の追跡とバッタの追跡では、われわれの知覚体験の向きがちがう。より正確には、 はたらく感覚の配分率がちがうのだ。蝶を逃がしたとき、バッタを逃したとき、子どもの頃の あの体験は知覚作用の根源性を開示する。(本文より)」師匠の本3冊目。デザインの拡がりはヒトの知覚の拡がりでもある。だから、ヒトの知覚の根源を問うところに、デザインの本質的な眼差しがある。

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『意味論的転回 : デザインの新しい基礎理論』
クラウス・クリッペンドルフ著(エスアイビー・アクセス 2009年)

著者はここで、「デザインとは物の意味を与えることである。(本文より)」と言う。はたして、 その「意味」とは、どこで誰が定義するものであり、どこに発生するものであろうか。デザインの意味を問うこと、それは私たち人間自身、私たちの生活環境と社会を問うことでもある。 デザインと社会の意味を問う物語。そこにデザインの大きな「転回」がある。

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『生きのびるためのデザイン』
ヴィクター・パパネック著(晶文社 1974年)

「今日では、インダストリアル・デザインは、マス・プロダクションの上に立って殺人を 行ってきている。毎年、世界中のおよそ百万人もの人を殺したりするような、まさに犯罪的な 危険な自動車をデザインしたり、なくなることのないようなくだらないものをつねにつくり 出して自然をめちゃくちゃにしたり、われわれの呼吸している空気を汚すような材料や生産工程を採用したりするなど、デザイナーは危険な人種となってきたのだ。(本文より)」1973年の指摘である。今なお耳が痛い。デザインの社会的道徳的責任とは何か、問われ続けている。

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『デザイン史とは何か : モノ文化の構造と生成』
John A. Walker著(技報堂出版 1998年)

「本書の目的は、これまでの定説をくりかえして述べることよりも、問題提起をすることに ある。(本文より)」そう、問題の本質を問うこと自体がデザインであるという認識が、本書の 根底にある。デザイン史とは、過去のスターデザイナーやデザイン作品のカタログではない。 デザインの歴史研究とはどんなものであり、そこにどんな問題があるのか。 デザインには、常に現状を問う姿勢が欠かせない。

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『モダンデザイン批判』
柏木博著(岩波書店 2002年)

「モダンデザインは、市場における人々の消費を組織することのみをその目的にしてきたわけではない。わたしたちの物質的環境をきわめて理想主義的かつ理念的に構築しようとしてきた。(本文より)」かつてモダン(近代)デザインが目指した理想とはどのようなものだったのか。そしてそのモダンデザインの理念は、私たちの生活の現実にどのように展開してきたのか。 過去の批判的検討なくして、新しい道は開かれない。

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『デザインのデザイン = Designing design』
原研哉著(岩波書店 2007年)

「デザインのデザイン」というタイトルの意味を深読みしなければ、たぶん本書の真意は 見えてこない。デザイナーがデザインすべき対象は、デザインという行為そのものにあると著者は言う。このことを自覚しているデザイナーは、たぶんそう多くない。デザインという行為自体がどういうことかを常に考え、行為自体の意味を定義し、社会に定着させてはじめてデザイナーの仕事をしたことになるんだろう、たぶん、ね。

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『「未来の学び」をデザインする : 空間・活動・共同体』
美馬のゆり・山内祐平著(東京大学出版会 2005年)

「頭がいいとはどんな人のことですか?、学びの場とはこういうところですか?、学習とは 先生のはなしを覚えることですか?(本文より)」このような現状の根源的な問いに対して 「未来の学びをデザイン」することが重要である。しかし、本書では、「未来の学び」において「デザインの考え方」を取り入れていくことの有用性という示唆があることを読み逃してはいけない。単にモノゴトを構成する方法論ではない、デザインの可能性がそこにある。

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『死をデザインする』
ティモシー・リアリー著(河出書房新社 2005年)

「生」とは死に向かう活動であることに他ならない。生きることをデザインするとは、 死ぬことをデザインすることと同義である。しかし、個人としての「生」は死に向かうことが 避けられないが、人間としての「生」はサスティナブルである必要がある。
ここに、「デザインとは<生>の全体性としての生活世界の形成」という向井周太郎のことばが響く。デザインがどこに向かうべきかを考えるための参考書。

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