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北岡 明佳 先生(総合心理学部)

2017.04.07

錯視絵やだまし絵を作るために読む本

『錯視入門』
北岡 明佳 著(朝倉書店 2010年 )

北岡が著した錯視の専門書である。比較的新しい錯視まで解説されている。絵が多くて、一見錯視の絵本のように見えるが、内容は硬い。錯視研究に必要な文献のリストは充実している。欠点としては、過去の錯視図形の収集はしていない(掲載されている画像はすべて筆者のオリジナルで、錯視研究の歴史的資料価値が低い)ということと、錯視の現象面のみの解説と考察に留まり、メカニズムについてのレビューはあまり深められていないことがある。

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『おもしろサイエンス 錯視の科学』
北岡 明佳 著(日刊工業新聞社 2017年 )

北岡の最新刊である。錯視研究の最新の話題を中心に執筆されている。おおよそ4ページで読みきりのコラムを集めた形式の出版物である。初学者向けにやさしく書かれているとは言えないが、錯視に興味のある人なら十分読みこなせて、錯視研究の概観とそれぞれのおもしろさを十分知ることができる。欠点としては、内容は筆者の研究に偏っていることと、カラーページが少ないため、色の錯視の話題が少ないことである。

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『だまされる視覚 錯視の楽しみ方』
北岡 明佳 著(化学同人 2005年)

北岡が最初に著した錯視の専門書である。錯視の基本的なところを丁寧に解説しているだけではなく、いくつかの錯視図形については、その作り方がわかるように書かれている。カラーのページはないので、色の錯視は取り扱っていない。

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『いちばんはじめに読む心理学の本⑤知覚心理学―心の入り口を科学する―』
北岡 明佳 編著(ミネルヴァ書房 2011年 )

北岡が編著者として各分野の専門家が執筆した知覚心理学の教科書。錯視は心理現象であるから、錯視を研究しようという人は、知覚心理学の知識が必要である。他の知覚心理学の教科書に比べて、視覚の諸現象における錯視の立ち位置をつかみやすい。

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『錯視の科学ハンドブック』
後藤 倬男 ・ 田中 平八 (編)(東京大学出版会 2005年 )

20世紀の日本の錯視研究の集大成である。幾何学的錯視すなわち形の錯視の研究が多い。北岡は錯視の現象を重視し、そのメカニズムの考察にまで踏み込まないことが多いが、先輩たちは必ずしもそうではないことがわかる。

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『The Psychology of Visual Illusion.』
Robinson, J. O. 著(Hutchinson/Dover Publications 1970年/1998年)

表紙は不可能図形のデザインであるが、おもに幾何学的錯視の研究を詳細にレビューしたものである。心理学史の中に錯視研究史という下位領域を置くなら、資料的価値の著しく高い文献である。錯視の研究者を自任する人は、是非目を通しておかれたい。

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『視覚のトリック:だまし絵が語る「見る」しくみ』
シェパード, R. N. 著(新曜社 1993年)

心理学者にも著名人はいるわけだが、シェパード先生はその一人。平均的な心理学徒にとっては、彼は「心的回転」の研究で有名な認知心理学の研究者なのだが、だいたいにおいて著名人というのは芸の幅が広いことが多く、シェパード先生もご多分にもれない。この本は、彼の自作の錯視図形やだまし絵図形を満載している。心理学徒はものづくりをしない傾向にあるので、シェパード先生のような存在は貴重である(もちろん北岡も貴重品なので大切にしようw)。

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『脳と視覚・グレゴリーの視覚心理学』
リチャード ・ L ・ グレゴリー 著(ブレーン出版 2001年 )

錯視研究者として有名人だったグレゴリー先生の世界的なヒット本。この本が視覚心理学の入門書あるいは参考書として今もベストかというと自信はないところであるが、世界中の人から愛されてきた定番の書籍なので紹介した。

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『錯視図形・見え方の心理学』
今井 省吾 著(サイエンス社 1984年)

日本の錯視研究の第一人者であった今井先生の著書。錯視の専門書ではあるが、一般向きに書かれたものとみなすこともできる。錯視の出版物は、本格的な専門書か、あるいは一般向きに噛み砕いたものや絵本クラスに極化する傾向にあるが、その中間を内容のレベルを落とすことなく著した初めての日本語の錯視本だったと思う。「錯視図形は錯視量が最大のものをデモしなければならない」というストイックな研究態度を、私はこの本から学んだ。

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『カラー版 マイヤーズ心理学』
D ・ マイヤーズ 著(西村書店 2015年)

錯視は心理学の研究対象である。なぜなら、錯視は物理的な測定機器では測定できないからである。「心理学」と聞くと「他人のこころが読めますか?」という反応が返ってくることが少なくないが、心理学はテレパシーを研究しているのではない(超心理学を除く)。多くの理系の人は自分の外のものに興味があるのだが、自分自身に興味がある理系的な人は心理学を研究すると楽しい。そのような人に心理学の入門書を紹介したいわけだが、図書館がカネを出しくれるというのだから、迷わず「マイヤーズ心理学」をお薦めする。

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