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安藤 悠太 先生(政策科学部)

2026.7.1


問いから科学と文明の行方を考える10冊

『問いの立て方』(ちくま新書)
宮野公樹著(筑摩書房、2021年)

タイトルから想像されるイメージとは違い、問いを立てるための方法を紹介したハウツー本ではありません。著者が、「いい問い」とは何かということを、そもそも論から、矛盾と循環を抱えながら思考したプロセスを追体験できる本です。答えを求めるためではなく、自分で考えるきっかけとするために読んでいただきたいと思います。随所に登場する「問い」に関する図解は必見です。

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『問いのデザイン:創造的対話のファシリテーション』
安斎勇樹、塩瀬隆之著(学芸出版社、2020年)

ワークショップや話し合いのときに扱う「問い」を本気で考えていますか?その問いは、どんな思考や感情を呼び起こし、どんな答えを生むでしょうか?この本は、基本的なファシリテーションのスキルに加えて、良い問いをデザインする方法を体系的にまとめたものです。良い問いは本質を捉え、創造的な対話が促進され、また新たな問いを生みます。実践を通して、ぜひ良い問いを投げかけられるファシリテーターとなってください。

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『星を継ぐもの』新版(創元SF文庫)
ジェイムズ・P・ホーガン著、池央耿訳(東京創元社、2023年)

月面で5万年前のホモ・サピエンスの死体が見つかった!という名作ハードサイエンスフィクション(SF)です。おすすめ本として紹介する理由は、極めて科学的で論理的な思考・方法でこの謎を解明していく過程が描かれているからです。データに基づき仮説検証を繰り返すという科学的な営みを、SFサスペンスとして楽しめます。決してネタバレを踏まないように!

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『親指はなぜ太いのか:直立二足歩行の起原に迫る』(中公新書)
島泰三著(中央公論新社、2003年)

未だに議論が続いている人類の起源について、ヒトの親指の太さに着目した仮説を提唱するプロセスを描いた本です。アイアイなどの霊長類の手や歯の違いに着目して、彼らの生活や食事の様式を説明しているのですが、そこで立つ問いは「なぜヒトの親指はとても太いのか」。これに答えるための仮説を、フィールドワークを基に論理的に展開する語り口が鮮やかです。この本も、ネタバレを読まずに一緒に考えながら読んでみてください。

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『幻のアフリカ納豆を追え!:そして現れた「サピエンス納豆」』
高野秀行著(新潮社、2020年)

納豆と言えば日本、ではなく、中国~東南アジア~インドでも食べられていることを突き止めた筆者は、さらなる未確認納豆を探して朝鮮半島とアフリカへ旅立つ、というフィールドワーク紀行記。納豆から切り開かれる食文化の整理は必見です。人類はどこでもおいしいものを追求していたんだということがわかって嬉しくなるとともに、世界中のおいしいもの巡りをしたくなります。関西人の方は納豆は苦手かもしれませんが、ぜひ。

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『もしも月がなかったら』(ありえたかもしれない地球への10の旅1)
ニール・F・カミンズ著、増田まもる訳(東京書籍、1999年)

もしも月がなかったら、地球はどうなっていたのか?を思考実験した本です。10種類の「もしも」の地球のそれぞれで、地球環境はどうなり、生命はどのような進化を歩んだのかがシミュレーションされています。奇跡的なバランスの下で地球環境があり生命があることが実感できます。ちなみに、最後の10番目にはオゾン層が破壊された未来の地球が設定されていますが、国際的な取り組みによりオゾン層は回復に向かっているという朗報もありました。

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『崩壊学:人類が直面している脅威の実態』(草思社文庫)
パブロ・セルヴィーニュ、ラファエル・スティーヴンス著、鳥取絹子訳(草思社、2022年)

まもなく文明は崩壊を迎えると警鐘を鳴らすフランスのベストセラーです。同じ主張は50年以上前からされてきていたわけですが、エネルギー問題、環境破壊、グローバル化などが進展した今、崩壊の連鎖が始まってしまうことをデータから整理しています。一番怖いのは「人間が大惨事の可能性を信じるのは、それがいったん起きてからで、つまり遅すぎる」という事実です。崩壊を迎えることを理解した人類はどこへ向かうことができるのか、それぞれに考える必要があります。

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『科学文明の起源:近代世界を生んだグローバルな科学の歴史』
ジェイムズ・ポスケット著、水谷淳訳(東洋経済新報社、2023年)

人類を助けもするし滅ばせもするのが科学文明です。一般に、近代科学はヨーロッパで築かれたと言われますが、そうではなく、世界中の科学者の努力と交流によって生まれたものであることを説いています。つまり、科学の発展は大航海時代に始まるグローバリゼーションとナショナリズムの中で発達したものであるということです。これまで語られてこなかった地域の科学の貢献を忘れてはならないことが物語調で書かれていて、読みやすいです。

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『空白の天気図』(文春文庫)
柳田邦男著(文藝春秋、2011年)

1945年の終戦の約1ヶ月後、西日本を猛烈な枕崎台風が襲いました。原爆投下によって壊滅した広島をも襲い、広島県の死者は2000人を超えたそうです。原爆投下のその日も気象観測を続けた広島気象台の台員は、設備の破壊や放射性障害に苦しむ中、枕崎台風の上陸を迎えた…。枕崎台風は、原爆被害を調査しに来た京都大学のチームをも遭難させるという悲劇も生みました。これらを鬼気迫るノンフィクションとして読むことができます。広島市の江波山気象館では当時の資料も展示されています。

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『自己組織化と進化の論理:宇宙を貫く複雑系の法則』(ちくま学芸文庫)
スチュアート・カウフマン著、森弘之、五味壮平、藤原進訳(筑摩書房、2008年)

要素同士が相互作用することで、自発的に複雑で秩序ある性質や振る舞いが立ち現れることを自己組織化と言います。この本は、自己組織化するシステムについて論じた複雑系という学問の名著です。自己組織化から、生命の誕生と進化をはじめ、経済や社会など非常に多くのシステムに通じる法則を説明できます。やや難解な本ですが、複雑系システムの考え方を知るにはもってこいです。

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