竹田 篤史 先生(生命科学部)
2024.09.1
『愛なき世界』
三浦しをん著(中央公論新社、2021)
みなさん理系の研究室での研究生活を想像できますか?本小説は、植物の葉に関する研究をしている東京大学理学部塚谷研究室をモデルにした「愛のある物語」です。院生のリアルな研究生活の一端を知ることができます。私も経験しましたが、三重変異体がとれたら本当にうれしいんですよ!主人公の藤丸さんになった気分で、楽しく読んでもらえればと思います。
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『植物たちの戦争 : 病原体との5億年サバイバルレース』
日本植物病理学会編著(講談社、2019)
みなさん意識した事がないと思いますが、実は植物も病気になります。植物たちは、目に見えないミクロなレベルで、カビ(糸状菌)、細菌、ウイルスなどと戦っています。私の専門分野は、こうした微生物たちによって引き起こされる植物病害を対象とした「植物病理学」です。本書は、植物病理学に関する最新の知見を紹介した入門書です。是非読んでみて下さい。
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『生命のからくり』
中屋敷均著(講談社、2014)
神戸大学中屋敷先生著の一般向け新書です。私の出身研究室の大先輩です。 生命とは何か?を独自の視点から論じています。非常に面白いと思います。生命科学部の学生さんは、是非読んで下さい。同著者の、「ウイルスは生きている(講談社現代新書)」、「遺伝子とは何か?(ブルーバックス)」もおすすめです。
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『不均衡進化論』
古澤滿著(筑摩書房、2010)
私が出身研究室でお世話になった古澤巌先生のお兄さんの本です。みなさん、高校生物でDNA複製を学びましたね?「片方の鎖は連続的に合成され、もう片方の鎖は不連続に合成されて最後に連結される。」と習ったはずです。この鎖間の複製様式の違いには意味があるはずだという考えに基づく斬新な進化論です。面白いアイデアですね。みなさんも教科書に載っていることを当たり前と思わず、疑問に思う習慣を身につけましょう。
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『CRISPR (クリスパー) 究極の遺伝子編集技術の発見』
ジェニファー・ダウドナ, サミュエル・スターンバーグ著(文藝春秋、2017)
役に立つかどうか分からない基礎研究の評価が大きく低下してしまった昨今ですが、生命科学の世界で100年に一度の発見・発明と言われるCRISPR-Cas9によるゲノム編集法も、元々は細菌とバクテリオファージのせめぎ合いを研究する基礎研究から見出されたものです。本書は、ノーベル化学賞を受賞した発見者による自伝的なCRISPR-Cas9の研究史と今後の展望をまとめたものです。ゲノム編集に興味がある人にオススメです。
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『相分離生物学』
白木賢太郎著(東京化学同人、2019)
面白いと思える(読むのをやめられない)教科書に出会ったことはありますか?本書は、私の人生ではじめて、面白い!と思いながら読了できた教科書です。生化学・分子生物学を一通り学習した人にお勧めです。私が研究対象にしている植物ウイルスのタンパク質達はとにかく扱いにくくて困っていましたが、本書を読んで相分離の概念を知ることで、その扱いにくさこそが植物ウイルスのタンパク質に必要とされる性質なのだと知ることになりました。
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『繁栄:明日を切り拓くための人類10万年史』
マット・リドレー著(早川書房、2010)
イギリス人サイエンスライター、マット・リドレー著のThe Rational Optimistの翻訳本です。地球上の生物の中で人類だけがなぜここまで繁栄しているのか?著者は、「専門化(Specialization)」と「交換(Exchange)」が鍵であると論じています。なるほどと思わされます。未来を信じてとにかく専門性を高めましょう!合わせてTED talk: When ideas have sexも視聴してみて下さい。
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『京都大学人気講義サイエンスの発想法 : 化学と生物学が融合すればアイデアがどんどん湧いてくる』
上杉志成著(祥伝社、2014)
私が所属する学科は、生物工学科です。化学と生物をベースにしている学科です。本書は、「化学と生物の知識を融合させて新しいアイデアを生み出す力を養う」というコンセプトで、京都大学の低回生向けに開講された講義を書籍化したものです。本書の内容を参考にして、日常の講義中に学んだ知識を他の講義で学んだ知識と融合させて、自分自身のオリジナルなアイデアを出す訓練をしてみましょう。
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『バイオ研究のための実験デザイン : あなたの実験を成功に導くために』
デイビッド J.グラース著(メディカル・サイエンス・インターナショナル、2011)
生命科学に関する研究を始めたみなさんにおすすめの1冊です。実験を始める前には、適切に実験をデザインする必要があります。しかし、日本ではその重要性があまり認識されていません。残念ながら、ここ立命館でも実験計画に関する体系的な講義は開講されていません。本書の内容を理解できていれば、研究室での研究がスムーズに進みます!
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『AI vs.教科書が読めない子どもたち』
新井紀子著(東洋経済新報社、2018)
立命館に着任して以来、修士論文を添削する中で、GPAが高いにも関わらず文章をまともに書けない子が一定数いることに気づきました。実験レポートに至っては、読むに耐えない酷さのものが多数見受けられます。そんな中で本書と出会い、彼らにはそもそも基本的な日本語の読解力が無いのだと思うようになりました。理系には国語力がいらないというのは間違いです。自身の読解力を認識し、高める努力をしましょう!
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