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田中 秀和 先生(生命科学部)

2026.9.2


『脳の設計図』
伊藤正男著(中央公論社、1980年)

東京大学医学部教授、理化学研究所脳科学総合研究センター所長を歴任した小脳研究の世界的権威(1928 -- 2018)による1980年の著作。AIが席巻する現代においても色褪せない洞察に満ちている。はしがきから「・・・脳についてこれまでに解明されたところを知っているだけでは不十分で、今後さらに何が明らかにされねばならぬかを承知している必要がある。では、何が明らかになれば、脳が理解されたことになるのであろうか。脳の化学的組織がことごとく判明すればよいのであろうか。あるいは、インパルス信号の伝導とか、シナプス伝達や細胞の物質代謝などがすべて判明すれば、どうであろうか。答えは『それだけでは不十分』であろう。・・・」そこで「脳の設計図」を描いてみせようというコンセプトで書かれた名著。本文には「脳の構造をしらべればしらべるほど、その厖大さ、複雑さに圧倒される。しかし、だからといって思考を拒否し、後世の人をたよりにして逃避するのはあまりに情けないではないか。自分の脳を使って脳のことを考えるという奇妙な矛盾に呪縛されて身動きできなくなってしまうことのないように・・・」と、迸る研究者の矜持が熱い。

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『自省録』
マルクス・アウレーリウス[著] ; 神谷美恵子譯(岩波書店、1956年)

ローマ皇帝マルクス・アウレリウス(AD121-180)の心の声が、二千年の時を超え甦る。古代の人であっても、ましてやかのローマ帝国皇帝であっても、今を生きる我々と同じようなことで悩み、思索するのだと、リアルに感じることができる。名著「生きがいについて」で知られる神谷美恵子による格調高い翻訳も素晴らしい。順不同な日記のようなもので、パラパラめくってつまみ読み可能。あなたの座右の銘になるかも。

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『夏への扉』
ロバート・A. ハインライン著(講談社インターナショナル、2000年)

SF古典の名作。天才エンジニアのDanと相棒ネコのPeteが繰り広げる時間旅行と、エンジニアの矜持と愛する者を守り抜くための、アメリカ人らしく「忙しない」戦い。たとえ季節が真冬であっても、DanがPeteのために作った猫扉のどれかが必ず夏につながっている、すなわちPeteはThe door into summerが必ずあるという信念を持っている。果たしてDanとPeteは2人(1人と1匹)にとって本当のThe door into summerを開けることはできるのか。歯切れのいいDanのセリフと、戦闘体制に入ったPeteの雄叫びを、是非英文原書で楽しんでください。

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