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中根 成寿 先生(産業社会学部)

2026.11.2


『私的所有論』
立岩真也著 (生活書院、2013年)

私が産業社会学部の3回生のとき、ゼミの先生の研究室で出会った本です。アスリートとして挫折した私に、優生思想と能力主義のつながりを示し、「そんなの気にしなくていい」と言ってくれた本でした。大学院進学と研究者を目指すきっかけは、この本がくれました。人生を変える一冊は誰にでもあると思いますが、私にとっては『私的所有論』がその本です。

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『はじめての統計的因果推論』
林岳彦著 (岩波書店、2024年)

私は世の中の問題の多くは、努力不足ではなく「間違った努力」の結果だと思う。間違った努力は結果も出ず、人だけが消耗する。頑張る前に効果を測るほうが、人が傷つかなくて済む。この本は、「その努力は効くのか」を正しく考える方法を教えてくれる。努力を強いる前に、まずは因果を見誤らないことが、いちばんの優しさだと思う。

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『家父長制と資本制 : マルクス主義フェミニズムの地平』
上野千鶴子著 (岩波書店、1990年)

上野千鶴子は社会学者として有名だが、ネットでアンチコメがつきやすい人でもある。しかしアンチで上野の著作を読んだことのある人は1%もいない。読んでから文句言え、と思う。上野社会学の初期の到達点はこの本である。「なぜ、ケアの値段は安いのか」は世界共通の問いであり、原因はもう明らかだが、解決策はまだない。原因を知りたければこの本を読んでみてほしい。

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『生きづらさの手放し方 : 大人になっても消えない重荷を抱える人のための』
和田一郎著 (KADOKAWA、2026年)

和田一郎さんは、児童福祉が専門で、かつゴリゴリのデータサイエンティストだ。その人が逆境体験について本気で書いたら、予想外に優しい本になった。冷徹な科学は、効果の怪しい「優しさ」より、はるかに人を救う。social work is data science、の到達点です。

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『陰謀論 : 民主主義を揺るがすメカニズム』
秦正樹著 (中央公論新社、2022年)

秦正樹さんは、政治心理学が専門で、元ネット右翼で、データサイエンティストである。ネット右翼の実像や、陰謀論にハマりやすい人はどんな人かを、しっかり調べて、数字で証明してくれる本である。社会科学の「本気」を知りたいなら、まずはこの本をおすすめする。

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