立命館大学図書館

   
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「第1回:自分で調べることの大切さ!」菊地 武司 先生(生命科学部)

インタビュー:学生ライブラリースタッフ 木野(情報理工学部4回生)

菊地 武司 先生
菊地 武司 先生の研究概要

―― 先生はタンパク質のフォールディングを専門とされていますが、学生時代からそのようなタンパク質関係の本を読んでいたのですか?

学生時代は統計力学などに関する本を利用しましたね。学生時代は、生体分子の電子状態の研究をしていました。要するに生体分子、ポルフィリンですね。そしてその後私はコーネル大学へ留学してアメリカの図書館も利用していました。向こうの図書館は充実していて、大変静かでしたね。キャレルディスクという間借りできる場所があって、学生は事前に予約して一月の間そこをずっと利用したりしていましね。

―― そこでも研究分野の勉強のために利用されていたんですか?

向こうは試験のパスが厳しいから学部生や大学院生はずっと勉強をしていました。私は日本と同じく、よく専門誌などを読んでいました。新着雑誌でもそうだし、一年前に製本された本の紙をめくって調べたりしていましたね。

―― 今はそのような雑誌は電子媒体のE-Journalとして利用できるようになっていますが、先生もE-Journalをよく利用されていますか?

利用していますよ。そういう意味では大変便利であるのにも関わらず、調べ物に関しては今の学生は使いこなせてないような気がしますね。

―― それはなぜだと思われますか?

今の学生は資格の勉強など、いろいろなことをやっている、そのせいで、図書館の文献を調べるという行為自体が少なくなっている感じですね。しかし、これは自発的な問題ですから自分から動かないとだめですが。僕らの時代に比べていると、その点に関してはやっぱり出来てないなぁ。いろんなことはできる環境にはなったけど、結構優秀な学生でも、調べることが昔と比べて少ないように思えるし、院生もできてない気がするなぁ

―― 今、アメリカの大学、先生の学生の図書館を振り返ったわけですが、立命館の大学図書館について、どのように思われますか。

いや、立命館の図書館は標準以上だと思います。スタッフもしっかりしていて対応を早くしていると思います。ただ、電子媒体の資料を使うようになり、図書館に足を運ぶことは少なくなりました。紙媒体には紙媒体のよさがあったのですが。紙をめくることで、頭が刺激されることがあるんですよ。

―― 先生にとって、図書館とはどういう場所ですか?

やっぱり勉強する場所ですよね。もっと大げさに言いますと、情報のある場所、知が集まっている場所といいますか、知が蓄えられる場所ですね。

―― 僕自身、ライブラリスタッフとしての働いているせいもあってか本に携わる機会が増えたのは事実です。そして、知らない一面に触れることで新しい知識が得られる点は大変面白いと感じていました。

ただ「へぇ~」と思うのではなく、大切なのは「なぜ」を追求しなければならない事なのです。刺激を受けたら深めることが大事です。そして、研究で面白いのはなぜこれが謎なのか、自分で見つけるのが大切です。だから、こちらから「面白いやろ!?」と言っても駄目なんですね。どれだけ主体的になるか、どれだけコミットするかが大切なんです。

―― 先生から面白いと思われる本があれば紹介いただけますか?

お薦めの本は、まず、インフェルト・アインシュタインの「物理学はいかに創られたか」。研究とは何かが書かれている本です。続いて、シュレーディンガーの「生命とは何か」。遺伝の現象とは何か、そしてその謎に対してどう立ち向かうか、を知ることができます。それから、ファインマンの「ご冗談でしょう、ファインマンさん」。冗談の中に一本筋が通っているんですね。この本は原著は易しい英語で書かれているので、英語の「Surely you’re joking, Mr. Feynman」でも十分読めると思います。あとは、ハイゼンベルグの「部分と全体」。戦前の物理の発展について述べられています。

―― これらはすべて先生が学生時代に読まれた本なのですか?

もちろん、そうです。若い人に、何が面白くてどう考えたらいいということに接してほしい。DNAのらせん構造とかが解明されていなかった時代の人たちが、どう考えていたのかということに触れてほしい。僕が学生のころは、分からないことはまず自分で調べました。だから間違いも多かったし無駄も多かったけど、そういうのが大切な大事な気がするな。時間があって他に何もすることがないときに、「自分だったらどうするか、自然科学とは何か」をゆっくり考える。若い人にはこういう勉強をして欲しいんです。

―― 主体的に謎を捉え、主体的に調べたり考えたりするところに、研究の面白さがあるのですね。とても興味深かったです。貴重なお話をいただき、ありがとうございました。