立命館大学図書館

   
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「第8回:皆が誇れる図書館に!」檜枝 陽一郎 先生(文学部)

インタビュー:学生ライブラリースタッフ 廣田(法学部3回生)

檜枝 陽一郎 先生
檜枝 陽一郎 先生の研究概要

―― 学生時代に影響を受けた本はありますか?

アルトゥル・ショーペンハウアー(ドイツの思想家)の(他にも蔵書多数)とルキウス・アンナエウス・セネカ(古代ローマの修辞学者)の(他にも蔵書多数)等をよく読んでいましたね。それに最近翻訳が出ているスペインの哲学者のバルタザール・グラシアンのですね。当時の専攻分野とは違ったんですが、哲学や外国語には自然と興味を持つようになっていました。私の生き方や人生における指針になりました。

―― 学生時代、先生は経済学部に所属されていて、院進学の際に独文学へと転向されていますが、そのこともこの本からの影響といえるのでしょうか。

いえると思います。そういう意味では人生を決めてしまったのかもしれないですね。

―― 学生時代には図書館も利用されていたのでしょうか。

経済学の分野にはあまり興味がなかったから、図書館の本自体はそれほど利用しなかったと思います。立命館のように学部ごとに図書を所蔵している場所があったので、一般図書を所蔵している図書館にはあまり行きませんでした。昔は図書館の書庫には立ち入れなかったこともあって足が遠のいていましたね。

―― 現在立命館大学の図書館は利用されていますか。

文献複写で利用するのが一番多いですね。あとは授業で使用する資料の収集にも使います。

―― 学生にお薦めしたい本を教えてください。

前述したグラシアンの本ですね。今翻訳が2つ出ています。ショーペンハウアーも著作を褒めていたんですよ。

―― 先生が執筆された本で薦めたいものは何ですか。

私が翻訳したこの『「山の神」』でしょうか。ドイツ人が書いた本なんですが、民俗学関係の本で初心者でもとっつきやすい内容になっています。

―― 他大学、外国と比較して立命館大学の図書館をどう思われますか。

よくやってくれていると思いますよ。外国からも、頼んだら確実に複写や貸借依頼を受けてくれますしね。館内も他大学と比べても静かだと思います。

書庫の中にもう少しスタンド式机や椅子を増やして、閲覧室以外の勉強スペースを作ったら良いと思います。そういうのは修道院みたいでいいんですよね(笑)私なんかは昔から大学の良し悪しっていうのは図書館を見ればわかるって思っていますから。学生も教授も、皆がプライドを持てるような図書館じゃないといけません。

あと、日本における拠点になるような図書館作りがもっと必要ですね。「この分野の本なら、この図書館に行けば必ずある!」というような。その場合には先生の協力が必要ですね。明治大学では漫画図書館とか作ったでしょう。
各大学図書館でどの分野の蔵書が強いのか、もっと打ち出していけばいいと思います。なんでもまんべんなく集めるのではなく、方向性を持って集めていった方がある部分ではいいと思います。

―― 日本の図書館にはないドイツの図書館の魅力を教えてください。

外国の図書館はかなり電子化が進んでいて、文献複写はPDFでパソコン上に届くんですよね。これは著作権の問題があって難しいでしょうが、立命館大学でも他大学の図書館と連携を取って図書館の電子化を進めてほしいですね。ドイツの図書館でも、中には複写できない昔の本もありましたが、写真を撮ることができるから、それをコンピューターに取り込んでいましたね。

他にも利用者の立場に立った図書館作りに優れていて、特にレイアウトにアクセントがありました。ドイツの図書館の閲覧室は個々の机にコンセントとパソコン端末が付いていて、大きな閲覧室はなくて一部居間みたいな造りになっています。観葉植物とかも置いてあって気持ちが落ち着きますね。
立命館の閲覧室は広いスペースを取っていることもあってやや殺風景だと思います。京都は建物の高さ等に制約要因があって難しいだろうけど、もっとレイアウトを工夫して欲しいですね。

―― 確かに、6人掛けの席でも結局2人だけで陣取っていたりする光景をよく見ますね。ドイツの図書館は個々のゆったりした空間で勉強できそうですが、飲食はできるのでしょうか。

持ち込みはできないけど、下にカフェテリアがあってそこで休息することができます。立命館でもあったらいいと思いますけどね。観葉植物は、そこら辺に生えている木でも切ってきて。(笑)

―― 休日に勉強する時は休息場所に困るので、カフェテリアがあったら助かりますね!最後に、私たち学生に図書館利用のアドバイスをお願いします。

もっと図書館の中にある外国文献を読もうとしてほしいですね。たくさん所蔵はあるけど今の学生は読めなくなってきています。どこの大学でもそうですが、重要な文献があっても読もうとしないから、宝の持ち腐れになっているんです。

あとは、単に図書を借りて返すだけじゃなくて、図書館の可能性についてもっと知ってほしいです。立命館の図書館は他大学と比べてもよくやってくれているのに、図書館の機能について知らない学生が非常に多いんですよ。そのためには図書館側のインフォメーション力も必要になりますが、何より学生が自分で聞いて、調べようとすることが一番大事だと思います。

―― 我々LSも図書館と学生の橋渡し役として、頑張っていきます!本日は貴重なお話を、ありがとうございました。

今回の対談で紹介した本

ショーペンハウアー : 生涯と思想 / アルトゥール・ヒュープシャー[ほか]著 ; 金森誠也[ほか]訳、白水社、1975
倫理論集 / [セネカ著] ; 兼利琢也,大西英文訳、岩波書店、2005.7-2006.6
至高の哲人 : バルタザール・グラシアン300の金言 / バルタザール・グラシアン著 ; 金森誠也訳、PHP研究所、2009.5
山の神 / ネリー・ナウマン著 ; 野村伸一, 檜枝陽一郎訳、言叢社、1994.10