立命館大学図書館

   
  1. TOP>
  2. 学生支援>
  3. 教員インタビュー>
  4. 「第9回:『無駄』なことこそ糧になる!」村中 亮夫 先生(文学部)

「第9回:『無駄』なことこそ糧になる!」村中 亮夫 先生(文学部)

インタビュー:学生ライブラリースタッフ 橋本(文学部2回生)

村中 亮夫 先生

村中 亮夫 先生の研究概要

―― 学生時代に影響を受けた本はありますか?

学生時代には中山間地域における過疎化や人口減少などの地域問題に関心があり、色々な専門書を読みました。とくに、入門書として参考にした本は、、『地域経済学』です。 この書籍は20年近く前に出版された本ですが、この書籍の後継として新しい事例集 『基本ケースで学ぶ地域経済学』も出ているので、是非今の学生さんにも読んで欲しいですね。

―― 地理学以外の専門書で影響を受けた本はありますか?

そうですね。地理学では地理だけを学んでいては駄目なので色々な分野の専門書を読みましたよ。

―― どんな感じの本が多かったですか?

例えば、社会調査をする時に調査票を作るじゃないですか、でも地理学の本には社会調査系の概説書があんまりないんですよ。だから社会学や経済学、心理学の書籍なんかを参考にしましたね。

―― 学生時代の図書館の利用頻度・利用方法を教えてください。

週に1-2回程度、利用させてもらっていたと思います。私の専門は人文地理学なのですが、所属していた地理学専攻の共同研究室になかった『経済地理学年報』『地理科学』『季刊地理学』といった雑誌を見に行っていた記憶があります。また、専門書が充実している文献資料室や修学館書庫の雰囲気が好きで、文献を探しによく行ってましたね。
特に、図書館1階の奥にある学術雑誌コーナーには、論文を探しに立ち寄っていました。学術雑誌コーナーの環境は、経済学や社会学など、さまざまな分野の雑誌が一同にあるといった点でとても良いと思います。最近は自分のほしい文献だけをE-journalなどで検索をかけて入手する傾向がありますよね。

―― E-journalはピンポイントに自分が探している情報が手に入り、便利ですから多くの学生さんが利用していますよね

図書館の学術雑誌コーナーは色んな分野の雑誌を読めるので、E-journalなどでは出会えない情報と出会うことができます。今はあまり図書館でゆっくり本を探すといった機会が少なくなりましたが、学生の頃はよく図書館に行っていました。専門分野の情報収集はもちろん関連する学問分野についての情報収集の場として図書館を利用していました。さすが知の集まりとしての図書館ですよね。

―― 今は先生はオンラインジャーナルの方を利用されることが多いんですか?

そうですね、最近はあんまり図書館には行かないですね。Google Scholarなんかもありますし。でもオンラインジャーナルも良い時と悪い時がありますよね。目的に沿った文献は手に入りやすいですが、余分な知識は入ってこないですね。

―― 余分な知識はやっぱり大事ですか?

大事ですよ。学生の時はやっぱり大事ですよ。余分に思える専門以外の豊富な知識が、専門分野の研究をする際に非常に重要になります。授業中にオンラインジャーナルなんかを紹介するんですが、果たしてそれが良いのかなと疑問に感じる時があります。効率的に探すっていうのもいいですが、図書館に行ってじっくり時間をかけて雑誌を読んでもらうのも大事だと思います。図書館とオンラインジャーナルの良い所を使っていったら良いと思います。

―― 学生の間は自由に使える時間が多いので図書館を有効に活用したいですね。

図書館の雰囲気とか書籍のにおいとかも良いですよね。雑誌を束にして持って行って読んだりとかね。自分自身の興味のなかった分野について読む良い機会にもなります。

―― 現在どのような資料を利用しますか。

もっぱら専門学術雑誌です。とくにオンラインジャーナルを閲覧しています。専門学術雑誌は地理学の専門学術雑誌だけでなく、それ以外の分野のものも利用しますね。地理学は空間の総合科学なので、隣接科学の雑誌も読まないと論文が書けないので。
学生時代は雑誌などを沢山閲覧用の机に持って行って目次をパラパラと見て面白そうな論文を読んでいました。最近では忙しさにかまけてパラパラ目次を見てゆっくりと時間をかけて論文を探すことは少なくなりましたが、学生時代に時間をかけて論文を探して読んだ経験は現在の研究活動に役に立っているんじゃないかと思っています。
学生時代は一見無駄に思えても時間をかけてじっくりと物事を考えることが大事ですよ。社会人になると忙しくてゆとりを持って考える事が出来ないから、学生時代は多少時間をかけて情報を仕入れ考える時間を持ったほうが良い。
学生時代にじっくり時間をかけて考えた経験があるからこそ、社会人になってからより効率良く物事を考えることが出来る。じっくり物事を考えた経験があるからこそ合理的な物事の考え方もできるようになる。
このように学生時代にじっくりと物事を考える場が、図書館では提供されている。だから図書館は良いと思います。

―― 学生にオススメの本があれば教えて下さい。

週刊ビジネス誌の『日経ビジネス』 などはいかがでしょうか?日本経済、世界経済の新しい情報が分かりやすく解説されています。さらっと読めるし、最新の経済情報が得られるので。『日本経済新聞』 もオススメです。個人的にはバランスが取れていると思います。地域経済などは面白いですよ。

―― 最後に図書館への意見・要望をお願いします。

最近図書館は頑張っていると思います。図書館の入り口に学生や先生のオススメの書籍のコーナーなどができたり、サービス精神があっていいと思います。

―― ありがとうございます。そう言って頂けると嬉しいです。私達ライブラリースタッフでも企画を立ち上げて、更に盛り上げていきたいですね。

学生さんにとってはより親しみやすい環境になっているのではないかと思います。今後も、学生・教職員の使いやすい環境の維持に努めていただければと思います。イベントなどはしないんですか?

―― 例えばどのようなものでしょうか?

そうですね、懸賞論文とか読書感想文ですかね。

―― 図書館が発行している冊子Library Navigatorに、学生が読書感想文や書評を載せるというものはあります。そういう面に関しては図書館ももっと大々的にイベントを行った方がいいかもしれないですね。

学生さんにより利用してもらいたいのであれば、それなりの仕組みや仕掛けが必要かなとは思います。ハードは整っているので企画やイベントなどソフト面をもっと充実させれば良いのではないかと思いますよ。他の大学の図書館や公立図書館はもちろんのこと、書店やCDショップなど、情報提供に関わるいろんな分野のサービスを参考にして様々な取り組みをしていって欲しいですね。図書館の人が楽しみながら企画などをやっていけば、来る人にも伝わると思いますよ。図書館に魅力的な場所の雰囲気を作るっていうのが大事。図書館にいくと新たな発見がある、そういった環境作りをすることで立命館大学自体が盛り上がると思います。

―― 企画はライブラリースタッフの中で完結することが多いので、もっと学生さんを巻き込む様な企画をこれから実施していきたいと思います。本日は貴重なお話をありがとうございました!

今回の対談で紹介した本

地域経済学 / 宮本憲一, 横田茂, 中村剛治郎編、有斐閣、1990
基本ケースで学ぶ地域経済学 / 中村剛治郎編 有斐閣 、2008
経済地理学年報 / 経済地理学会、1954-
地理科学 / 広島地理学会 [編集]、1961-
季刊地理学 = Quarterly journal of geography / 東北地理学会 [編]、有斐閣、1992-
日経ビジネス / 日経マグロウヒル社、1969-
日本経済新聞 / 日本経済新聞社、1946-