立命館大学図書館

   
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「第12回:図書館は知識のプロテイン~続けなければ意味が無い~」青野 幸平 先生(経営学部)

インタビュー:学生ライブラリースタッフ 内田(経営学部3回生)

青野 幸平 先生
青野 幸平 先生の研究概要

―― 学生時代に影響を受けた本はありますか?

夏目漱石、太宰治等の名著は一通り読みました。それ以外では、『文明の衝突』という本や『怪しいお仕事!』という本が印象に残っています。『文明の衝突』は、中国とアメリカの対立について書かれています。かなり前に書かれた本ですが、今の情勢を的確に示唆している、先見性に富んだ本です。『怪しいお仕事!』は、いまちょうど話題になっている野球賭博のような、裏稼業について書かれている本です。文庫版で図書館にもあるようですよ。学術系の本だと、『ミクロ経済学入門』という日経文庫の本ですね。薄い本なのに、内容がすごく充実していて、驚きを受けました。また、論文などを書く際に影響を受けた本としては『理科系の作文技術』が印象に残っています。物事をまとめて、簡潔に伝える技術が凝縮された一冊で、今でもこの本の考え方が仕事などで活かされています。経営・経済系の学生でも大いに役に立ちますし、社会に出てからも役立つと思います。

―― 学生時代の図書館の利用頻度や利用方法を教えてください。

学部生のころは週に一回程度、どんな本があるか散策に来ていました。試験前はよく利用していた記憶があります。

―― では、先生が大学院生のときにはどのように利用されていましたか?

学部生時代とは違い、ほぼ毎日利用していました。この時に利用していた専門書などは手に入りにくく、図書館でしか読むことができなかったので、図書館をよく利用していました。今では、データベースも発展しているので、webページからデータを入手するのに利用しています。多様なデータベースを使うようになり、ここ5年で図書館に行く回数は減りました。探す手間が格段に楽になり、そういう意味で、いまの学生は恵まれていると思います。かつてはカード目録で探していましたから。カード目録がどういうものか知っている学生はもういませんよね。

―― 図書館の使い方のアドバイスを教えていただけますか?

まず、何か興味を持ったら、その分野の新しそうで読みやすそうな本を手にするようにしたらいいと思います。ネットでもある程度、情報を手に入れることは可能ですが、ネットは速さ重視で不確かな情報もあります。確実なのは紙媒体なので、信頼性の点から見ても直接手にとってほしいです。もし目当ての本が無ければ、図書館で購入してくれる購入リクエストのシステムもあるので、積極的に利用してほしいです。それから、新聞が図書館に置いてあるので、購読が難しい場合は積極的に利用して世の中の流れに触れてほしいです。最後に,新聞やニュースで出てくるデータや数字の解釈が本当に正しいのか,自分で確認することも学生には是非積極的にやって貰いたいです。この大学には「社会科学情報検索」という素晴らしいデータを学生が利用できる環境が整っているのですから。

―― 学生に対して、先生のお薦め本はありますか?

新書で大竹先生が書かれた、『経済学的思考のセンス』という本がお薦めですね。経済学の見方、なぜ経済学を学んでいるのかと経済学が社会に出て役に立つ理由を理解する上でも、大変有意義な本だと思います。どういうときに役立つのかを知ることは、経済学を学ぶモチベーションになると思います。他には、市場主義のあり方について斎藤先生の書かれた『競争の作法』などが面白いと思います。

―― 経済学について取っ付きにくいと考えている学生にお薦めの本はありませんか?

数学関係なしで、経済学の考え方を学ぶという意味では、上記の『経済学的思考のセンス』や『ヤバい経済学』がお薦めですね。経済学的なデータの見方から、様々のことの真実を解き明かした本です。他には、図書館に頼んで買ってもらったもので、『出社が楽しい経済学』がお薦めです。これは、書籍DVDがあるのですが、経済学の重要な用語を分かりやすく、ドラマ仕掛けで教えてくれるので経済学をまったく勉強したことの無い人にもお薦めです。このような資料を通じて、経済学が身近なことだということを知ってほしいです。

―― 図書館への要望を教えてください。山ほどあるということですが・・・?

山ほどというほどではないですけどね、データベースについては,今後も現在の水準を維持し続けて欲しいです。学生が,様々なデータにアクセス可能な環境であることは学生が学問に触れる意味で非常に重要な事です。興味を持ったことを,自分で調べて分析して自分なりの解答を導くことは「学問」の入り口です。それから、これは夢になるかもしれませんが、学期期間中だけでも、図書館を24時間開館にしてもらいたいです。利用する人は少ないかもしれませんが、本当に勉強したい人が勉強できる環境を作るという意味でも面白いのではないかと思います。

―― 最後に学生へのメッセージをお願いします。

学生時代はいちばん時間があるときだと思うので、興味のある本は積極的に読んでほしいです。大学生のときに読んだ本というのは、ずっとその内容を覚えているものです。種類は問いません。新書、専門書、新聞・・・最初の入りの部分は何でもいいと思います。ただ、その本がどのように役に立つのかを考えながら、一日に10分でも20分でもいいので、継続して読んでほしいです。理論は積み立てていくものなので、筋肉と同じです。筋トレも、目的が無ければ続かないですよね。また、続けるのをやめるとすぐに筋肉は落ちてしまいます。それと同じように、目的をもって継続することに意味があると思います。その環境が立命館大学の図書館にはあると思います。昔と違い、大学図書館は格段に利用しやすくなっています。学生にはどんどん利用してほしいですね。

―― 今回はインタビューにご協力いただきありがとうございました。

今回の対談で紹介した本

怪しいお仕事! / 北尾トロ著 新潮社 2006
文明の衝突 / サミュエル・ハンチントン著 ; 鈴木主税訳 集英社 1998
ミクロ経済学入門 / 奥野正寛著 日本経済新聞社 1990
理科系の作文技術 / 木下是雄著 中央公論社 2002
経済学的思考のセンス / 大竹文雄著 中央公論新社 2005
ヤバい経済学 / スティーヴン・D・レヴィット, スティーヴン・J・ダブナー 著 ; 望月衛訳 東洋経済新報社 2006
出社が楽しい経済学 / NHK「出社が楽しい経済学」制作班編 日経BP出版センター 2009
出社が楽しい経済学 / 吉本佳生, NHK「出社が楽しい経済学」制作班編 日本放送出版協会 2009