立命館大学図書館

   
  1. TOP>
  2. 学生支援>
  3. 教員インタビュー>
  4. 「第26回:じっくり深読み」亀井 且有 先生(情報理工学部)

「第26回:じっくり深読み」亀井 且有 先生(情報理工学部)

インタビュー:学生ライブラリースタッフ 安達、 竹井

亀井 且有 先生
亀井 且有先生の研究概要

―― 最近図書館を利用されていますか?

最近は利用していないですね。でも昔は利用していました。以前は、教員は1~2年本を借りることができたのですが、最近は200日に短縮され、その代わりに更新がネット上5回まででできるようになったので、便利になったと思います。しかし、6回目の更新からは図書館に一度本を返却してからでないと借りることができないので、本をたくさん借りているときは大変です。

―― 立命館の図書館をどう思われますか?

今度、図書館で学生同士が話し合いながら勉強するぴあらのような場所を設けることは驚きで、良いことだと思っています。私の学生時代は、図書館は本を貸り、返却する場所であり、一人で静かに黙々と勉強するところというイメージでした。理系の学生は特に一人で勉強する人が多かったと思います。そのため、ぴあらのような場所は新しい取り組みだなと思いました。

―― ぴあらはホワイトボードやディスプレイを用いて自由にプレゼンができる環境があるのですが、そのことに関して先生はどう思われますか?

大賛成です。情報理工学部でも独自のラーニングコモンズを検討しているので、ぴあらは非常に参考になります。そこで全学部生を対象とした図書館のぴあらと、情報理工学部のラーニングコモンズとの住み分けをどうするかを考えています。

―― 学生時代に影響を受けた本や、印象に残っている本はありますか?

私は多くの本を読むよりも、一冊の本に対してじっくり時間をかけて読んでいました。1ページ理解するのに、2~3日かけることもありました。そのため、学生時代に読んだ本は少ないのですが、その中でも影響を受けた本を2冊紹介したいと思います。1冊目は高群逸枝の『火の国の女の日記』です。高群さんは平塚らいてう等と共に女性解放運動に参加し、女性史を研究されていた方です。この本を読んで、彼女の研究に対する心構えや態度に大変感銘を受けました。また、研究とはなにかについて知ることができました。それが、私が研究者を目指すきっかけになったかもしれません。 2冊目は堺屋太一の『鬼と人と』です。この本は上巻・下巻に分かれていて、同じ場面を上巻は織田信長目線で書かれていて、下巻は明智光秀目線で書かれています。この本を読むことにより、同じ物事に対して色々な見方があるということが分かりました。また、他の視点から見ることの面白さを知った本です。

―― 学生にお薦めの本や資料があれば教えてください。

新入生に特にお薦めの本が2冊あります。1冊目は青木良且の『情報ってなんだろう』という本です。特に情報系の学生には読んでもらいたい本です。2冊目は海保博之の『学習力トレーニング』という本です。

―― 先生はCiNiiや日経テレコンといった立命館図書館のデータベースを利用されますか?

日本語で書かれた論文を検索するときにCiNiiはよく使用します。そのほかにも、英語で書かれた論文を検索するときにIEL Onlineを利用します。また、Google scholarで論文検索をしたりもします。昔は会費を払って学会員になっていないと、論文を見ることができなかったのですが、今はネット上で論文を公開しており、大変便利になっていると思います。例えば、J-STAGEという国が論文を集めてPDF化し公開しているサイトがあります。

―― 学生はGoogle検索やWikipediaを使用することが多いのですが、それについてどう思われますか?

論文やレポート作成するためにWikipediaを利用することは信用性に欠けるので不適切ですが、簡単なことを調べるときには活用できると思います。例えば、言葉によるジェネレーションギャップを感じるときは、Wikipediaで調べたりします。だから、目的に応じて使い分けることが大切だと思います。

―― 最後に、学生へのメッセージをお願いします。

私は本を読む量が少なく、読むスピードも遅いのですが、好きな本や興味のある本は時間をかけて納得いくまで読んできました。特に理系の学生にはこの読み方が大切だと思います。例えば数式をただ単に覚えるのではなく、意味を理解することが大切です。そのために、一冊の本に対して時間をかける必要があります。また、文系の学生は幅広い知識が求められるので、多くの本を読む必要がありますが、時には本の本当の意味を追求し、内容を深く理解する読み方をしてもらいたいです。

―― 本日は貴重なお話をありがとうございました。

今回の対談で紹介した本

火の国の女の日記 / 高群逸枝著 ; 橋本憲三編 理論社  1965
鬼と人と : 信長と光秀 / 堺屋太一著 PHP研究所 1989 (学内図書なし)
情報って何だろう / 春木良且著 岩波書店 2004
学習力トレーニング / 海保博之著 岩波書店 2004