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「第50回:はばひろい学びを」小林 功 先生(文学部)

インタビュー:学生ライブラリースタッフ 伊藤、小市

小林 功 先生

小林 功 先生の研究概要

―― 先生の専門領域と、そこに興味を持ったきっかけを教えてください。

ビザンツ帝国(東ローマ帝国)史 7~10世紀を中心に研究をしています。興味の領域は広く、艦隊や、最近では政治史、皇帝についての研究をしています。学生時代、大学に西洋史学専攻だけでなく西南アジア史学専攻もあってどちらかを選ぶことができたので、オスマン帝国かビザンツ帝国か、場所は一緒ですが時代が違うどちらかの研究をしようと思っていて、結局古いほうに行ってしまいました。興味をもったきっかけは、小学校の図書室に歴史の全集があり、それを読んでからですかね。西洋史に限らず日本史も好きで、東洋史も読みました。ただ、その全集はフランス革命の巻だけ行方不明で抜けていたので、未だにフランス革命のあたりはよくわからなかったりします(笑)

―― 先生の専門に関連して、おすすめの本はありますか。

ビザンツ史では、『生き残った帝国ビザンティン』という、講談社現代新書から出たものですかね。20年位前、学生時代に買ったもので今も持っていて、これは入門書としておすすめです。歴史の本は専門的な本というと本当に専門的になってしまうので、一般書と専門書の中間くらいの本ってなかなかないのですが、これは読みやすいと思います。

―― ビザンツ帝国時代のよさ、おもしろさを教えてください。

やっぱり、コンスタンティノープルについてですかね。陥落の時ではなく、もっと前の、びくともしなかった頃、7世紀にはじめてイスラム教徒が攻めてきて、それを跳ね返している時期です。まあ結局イスラム教徒に押しまくられているからすごく強いわけではないけど、最後の最後の守りの砦としてコンスタンティノープルがあったからこそ、1000年以上もこの帝国は続いたのだと思うし、その役割とか歴史におもしろさがあるのではないでしょうか。

―― 学生時代はどんな風に過ごしていましたか?また、当時読んでいた本について教えてください。

学部生前半は遊びやサークルに時間を使っていて、後半はゼミで忙しかったです。専門書は、ゼミで洋書を読みまくっていた記憶が強いですね。ビザンツ帝国については翻訳されていないものもあったため、700ページほどある英語の本を日本語に訳していました。大学院に入ってからは、生協で本の書評誌の編集委員をしていたのでそれに載せるために、色んな本を読んで読んで読みまくっていました。特集を組んで、そのテーマの本を読むのは楽しかったですね。タイトルは忘れてしまいましたが、方言特集でひたすら名古屋弁について書かれているものを読むとか、食の本ばかり読むとか。小説は、そういった紹介をするためにたくさん読んでいました。その頃流行っていた江國香織や村山由佳、吉本ばなななどはうちにも沢山本があります。村山由佳の『天使の卵―エンジェルス・エッグ―』は、読み始めてから深夜まで一気に読んでしまった記憶がありますね。

―― 学生時代、図書館をどういう風に利用していましたか?

図書館の本館は3回生のときよく利用していて、夜遅くまで泣きながら英書を読んでいた記憶があります。だから、本館は勉強する場所、ってイメージが強いですね。学部の図書室(人文系文献資料室のようなところ)は来る人が少ないので、院生のときはよくこちらを利用していました。他大学の図書館にもよく行きましたよ。

―― 図書館に何か要望などあれば、お願いします。

今の図書館は古いので、新しい図書館が出来てからのお手並み拝見ですね(笑)利用者としては、修学館リサーチライブラリーと人文系文献資料室がもう少しわかりやすいといいですね。また雑誌が1つの館に集約されていたらありがたいです。他大学のように書庫の中に、休憩スペースやコピースペース、勉強スペースがまとまったものがあるといいなと思います。

―― 最後に学生へのメッセージをお願いします。

みんな本を読みましょう。やはり、3、4回生には専門書を読んでほしいけど、そうは言っても大学生なので自分の興味ある専門に関係のない本も読んでみたらいいのではないでしょうか。特に1、2回生は、歴史系の専攻だから歴史の本、というものにとらわれなくても、紙がきれいなもので選んだりしてもいいと思います。わたくしの場合は江國香織の小説とかはそうですね。そうやって出会った本は、卒論だけではなく、10年、20年後の人生のどこかで役に立つかもしれません。そんなふうに、色んなものを手当たり次第読んでみたらいいのではないでしょうか。

―― 本日は貴重なお時間をありがとうございました。

今回の対談で紹介した本

『生き残った帝国ビザンティン』/ 井上浩一著
『天使の卵―エンジェルス・エッグ―』 / 村山由佳著