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「第55回:図書館を読む幸せ」守屋 貴司 先生(経営学部)

インタビュー:学生ライブラリースタッフ 大沼・佐藤

守屋 貴司 先生

守屋 貴司 先生の研究概要

―― 先生の専門について教えてください。

私は経営学部で組織とマネジメントについて教えています。専門は人の働き方・働かせ方で、科目的にいうと人的資源管理やキャリアデザインが私の専門です。

―― 学生時代に読んで影響を受けた本はありますか?

高校時代司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を読みとても感動しました。土佐の脱藩浪士がオリジナルの構想で、長崎で船を調達したり、薩長を連携させたりという離れ業をやってのけたんですね。あぁこういう風に自分も生きたいなと思いました。坂本竜馬は自由人であり、私も自由人思考になりました。今でも調査、研究を自分で立案し、予算を取り、東京やアジア、アメリカ、ヨーロッパにいっています。そういった面で『竜馬がゆく』の竜馬の生き方に影響を受けた感じがします。大学時代に影響を受けたのは、ドラッカーと指導教授の石田和夫先生が書かれた『現代日本の鉄鋼企業労働』です。卒論はドラッカー批判について取りまとめました。石田先生は経営労務論というものを教えていて、私は最前列で授業を受け、いろいろ質問をしていました。すると石田先生から「君は興味あるんですか?」と聞かれ、興味があると答えると「うちのゼミにきなさい」といわれ、石田先生のゼミに入りました。この本は現在の研究の方向性を決めてくれる本になりました。大学院時代は神戸大学名誉教授の宗像正幸先生の『技術の理論』という本に非常に影響を受けました。日本語なんだけれども非常に厳密に書かれた優れた本で、ノートをとりながら精読しました。学問のあり方を教えてくれた本ですね。

―― 他にも影響を受けた本はありますか?

宮城谷さんの『楽毅』』という中国の歴史小説ですね。人はどのように生きるべきかという問いを持った主人公があらわれ、人として正しく生きる道を探していく話です。大学教員になって読んだ本で、私自身もいかにどう生きるかが自分の中の問いかけであり、今でも時々とりだして読んでいます。そういう面で影響を大変うけた本ですね。他には『銃・病原菌・鉄』『文明崩壊』といった本です。研究者は時に大きな視点を失ってしまいます。これらの本は文明史的な長い歴史の中で人類、文明はどうあってきたかがわかり、マクロ的な視点も持つことができます。この二冊は学者になってから影響をうけたなと感じます。

―― 学生にオススメの本はありますか?

クリステンセンの『イノベーション・オブ・ライフ』はおもしろかったです。クリステンセンという人は経営学の大家で、これまでの人生を振り返ってどう生きてきたか、どう生きるべきかについて書かれています。いかに生きるかということを教えてくれる本です。

―― この本はどこでみつけたのですか?

OICの生協です。全キャンパスの生協をよく利用しています。生協には学部の専門分野の本があり、自分の専門から離れた本を見つけることができます。衣笠で文学や歴史に関する本を時々買って読み、おもしろいなと思っています。

―― ずっと読んでいる特定の作家はいますか?。

司馬遼太郎の本はほぼ全て読みました。歴史小説関係はたくさん読んでいますね。歴史小説は人物の生き様を表していて、私の専門のキャリアデザインに繋がっています。

―― 最近、勉強のために本を読むことが多く、本好きがうすれてきたのですが・・・

自分の好奇心から関心のある本を見つけ、それらの本を大量に読んでください。立命館大学は総合大学です。それを生かしてください。色々な本が数多くあるのでその中から見つけてみてください。勉強で読むことも必要ですが、専門分野にとらわれず、好奇心、欲求に素直にしたがって本を読んでいくとすごくいいと思います。

―― 学生時代どのように図書館を利用していましたか?

司書の方と仲良くなり、司書の方にどんどん相談していました。違った視点を持っていて、様々な提案をしてくれましたね。今の学生諸君は本を探す時1、2ワードを検索して満足しているように感じます。それだけではあまり広がりがありません。パソコンは提案もしてくれません。図書館では司書の方をどんどん活用してほしいですね。イギリス留学時代はひたすら図書館をうろうろして、本の必要な部分を書き写したり、データをコピーしたり、オリジナルな資料集を作っていました。幸せな時間でした。

―― 本はどのように読んでいるのですか?

本の読み方は何通りもあります。研究の場合、データ的なものは速読で読み、重要文献は精読で読みます。さらに基本時なものには読書ノートをつくります。好きな小説、私の場合は司馬遼太郎になると、好きなフレーズにしおりを挟み何度も読み返したりもします。私のかばんの中には学術書であったり、小説であったり、新書であったり、常に5冊ほどの本が入っています。その時々の気分で読み分け、本を読む楽しさを実感していますね。

―― ぜひとも学生に伝えたいことはありますか?

私は本好きがこうじて研究者になったところがあります。本が好きで好きでたまらなくて、そんな中で一番本を読める環境を選択しました。本は自分自身の知らないことを教えてくれる、解き明かしてくれます。学生には本を読む幸せを感じてほしい。私にとっての幸せは本を読んでいる時です。幸せは研究書、小説、ノンフィクション、歴史書など、どんな種類の本でも感じます。本は自分の知らない知識、知らない視点を教えてくれる、世界を広げてくれるものです。今までの人生本当に多くの本を読んできました。それは非常に幸せなことです。

―― 最後に一言お願いします。

食わず嫌いにならないでください。強いて勉めて読むことが食わず嫌いに繋がっていると思うのですが、本というのは楽しいし、面白いし、ためになります。本を読むことは本当に幸せなことです。本の楽しみ方を再発見してください。

―― 本日は貴重なお話ありがとうございました!

今回の対談で紹介した本

『竜馬がゆく』
『現代日本の鉄鋼企業労働』
『技術の理論』
『楽毅』
『銃・病原菌・鉄』
『文明崩壊』
『イノベーション・オブ・ライフ』