Feature #02

キャリアセンター部長と
学生ライブラリースタッフの対話
コロナ禍のキャリアデザインに
必要なもの

小さな挑戦を重ねて視野を大きく広げよ

コロナ禍は就職活動のあり方も大きく変えました。企業説明会や面接のオンライン化が進み、就職活動生同士の情報交換も以前のようにはできなくなっています。そんな中でも、膨大な情報の中から自分に必要なものをつかみ、的確に行動して、希望をかなえるにはどうすれば良いのでしょうか? そしてコロナ後の就職活動はどのようになるのでしょうか?

アフターコロナも見据えたキャリアデザインと就職活動について、立命館大学キャリアセンター部長の紀國洋先生に、学生ライブラリースタッフの2名がお話を聞きました。

語り手
紀國 洋教授
(立命館大学キャリアセンター部長・経済学部教授)
聞き手
今中 崚太さん
(学生ライブラリースタッフ・情報理工学部3回生)
片岡 明日香さん
(学生ライブラリースタッフ・経済学部4回生)

【立命館のキャリア教育の特徴は?】 入学後すぐキャリアに関する
正課授業があること
現実の課題に向き合う機会があること

今中まず、立命館大学のキャリア教育の特徴について教えてください。

紀國立命館大学では、入学時から正課の授業としてキャリア教育を提供していること、また、授業の中で社会の課題に向き合ってもらうさまざまな機会を用意していることが大きな特徴だと思います。

例えば1回生の教養科目「社会と学ぶ課題解決」は、企業の方に自社で抱えるリアルな課題を提示していただき、その課題に対して学部横断型のチームでその解決に挑戦する授業です。企業の方々が教室に来られ、学生の提案に対する評価やフィードバックをしてくださる機会もあります。低回生のうちから社会を見る目を育てることはもちろん、チームの中でディスカッションやプレゼンテーションに取り組むことによって、プロジェクトマネジメントも学べる科目です。

キャリアセンターでも、就職活動期の支援だけではなく、1、2回生向けのセミナーなども開催しています。1、2回生を対象に「自分とは何か?」を考える機会や、社会ではどのような仕事や働き方があるのかを知る機会を提供しています。

立命館大学ならではの就職支援の仕組みとして、学生同士、学生と卒業生がつながる「スチューデンツ・ネットワーク」があります。就職活動を終えた学部4回生・大学院2回生は、自らの経験をもとに、身近な先輩としてアドバイスを行ってくれます。後輩支援に熱心なOBOGにはキャリア・アドバイザーとして登録いただき、相談会や模擬面接練習会に来ていただいています。昨年、オンラインでOBOGを訪問できるプラットフォームを導入しました。これによって、OBOG訪問のハードルが下がり、本音ベースでの相談がしやすくなりました。現在、1300人以上のOBOGに登録していただいています。オンラインツールはあくまで手段であって、「後輩のために何かしてあげたい」というOBOGの熱い想いがこのプラットフォームを支えていると思います。

【コロナ禍の就職活動の現状と今後の見通しは?】 主体性が問われる状況は続き
今後は「個」の力がさらに重要に

片岡コロナ禍での就職活動の現状について教えてください。

紀國コロナ以前は対面で行われていた企業説明会や面接が、今はほとんどがオンラインになりましたね。そこは学生にとってプラスの面もあると思います。時間を効率よく使えるようになり、例えば授業の合間に面接を受けられるようになりました。交通費の節約も大きな利点です。

一方でマイナス面も現れています。それは就職活動が個別化されているということです。情報はいくらでもありますし、企業とのアポイントメントも簡単になりましたが、主体的に動こうとしなければ就職活動を始めることができなくなっているのです。以前なら、スーツを着た学生をキャンパスや駅で見かけたと思います。今はほとんどいなくなりました。スーツ姿の学生を見て自分も「そろそろ始めなければ」と思う人も多かったのですが、今は他の学生がどうしているかが全然分かりません。コロナ禍で一番大きく変わったのが、学生の主体性がいっそう求められようになったということだと思います。

また、在宅で就職活動をするようになると、キャンパスに来る機会が少なくなり、キャリアセンターへの相談や、友達同士での情報交換がしにくくなっている面もあると思います。就職活動中は友達同士でも気を使ってしまうものです。キャリアセンターでは、就職活動の相談だけではなく、就職活動生同士が本音を語り合う企画も行っているので、気軽に参加して欲しいと思っています。

今中今後、就職活動はどのようになっていくのでしょうか?

紀國コロナが収束し、アフターコロナの社会になっても、以前のようにすべてが対面に戻るかといえば、私はおそらく戻らないと思っています。企業は効率よく採用活動を進められますし、さきほどお話ししたような学生にとってのプラス面もあるからです。主体的に情報を集め、自分なりに解釈して、どう行動するかを決める。そのことを一人ひとりが自覚する必要があるでしょう。そして、日本の雇用慣行、例えば年功序列や終身雇用などは劇的に崩れていくと思います。これまでなら定年まで勤めることを想定して就職をする学生が大多数でしたし、日本では就職=就社のイメージでしたが、これからは「どの会社に入りたいか」よりも「どんな仕事をしたいか」がより重要になると思います。以前なら会社が長期計画で人材育成をしてくれていました。しかし、これからは自分で自分のキャリアを切り拓いていかなければなりません。これを負担と感じるかもしれませんが、むしろ、チャンスと捉え、自分が納得できるキャリアを歩んで欲しいと思います。

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