- 加藤 稔教授
- Minoru Kato
- 応用化学科
- 研究室生体物理化学研究室
- 専門分野物理化学、生体分子科学
- 担当科目生物物理化学、生体高分子解析法
- Q1研究の内容を教えてください。
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私の研究室では、タンパク質およびそのモデル分子を主な対象にしています。タンパク質は、触媒、輸送、運動、抗体、情報伝達などを通して生命現象のすべてを陰に陽に担っています。タンパク質に異常が発生すると様々な疾病が引き起こされます。例えば、アルツハイマー病やパーキンソン病などはタンパク質の異常構造がその引き金です。私たちは、タンパク質分子の正常・異常構造がどのような分子機構で形成されるのかを、明らかにすることを目的に研究を進めています。構造解析には主に光計測法(分子分光法)や理論的方法も利用します。タンパク質分子の構造変化は非常に複雑なので、小さな人工タンパク質やペプチドなども利用します。純粋な基礎研究ですが、様々な難病疾患とも関連する課題でもあり、とてもやりがいのある研究です。
- Q2研究に興味を持ったきっかけを教えてください。
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小学生の時に家にあった宇宙や生物の図鑑や理科の先生の影響で、理科(科学)が好きになりました。その気持ちは高校でも変わりませんでした。大学では迷わず物理学を専攻しましたが、大学入学以前から文学から哲学・心理学などにも強く興味が惹かれ(それだけが原因ではないが)、科学から遠ざかっていました。卒業研究室で日本結晶学会誌に掲載されていた「タンパク質の結晶解析と分子模型」に魅せられて(物理計測が生命現象の理解に重要であることを直感して)、再び科学に目覚めました。大学院では、物理学と生物科学の仲立ちとなる化学を専攻しました。
- Q3高校生へメッセージをお願いします。
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偶然か必然かわかりませんが、現在も化学を中心に自然科学に関わることができることに喜びを感じています。私にとって科学は、単なる技術や道具だけではなく、文学や哲学と同様に、それを通じて客観的に人間や世界(宇宙)を考える機会を与えてくれます。科学は世の中を便利にするだけでなく、人間の世界観・価値観にも影響を与える強大な力を持っています。将来、科学とは直接関係のない職業に就こうとも、科学の重要性に気づくことによって人生をより豊かにしてくれると思います。
- おすすめの書籍
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エルヴィン・シュレーディンガー 著『生命とは何か -物理的にみた生細胞-』